ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの71歳の老人の日記です

ロフトで勉強しましょ 9話

課長が
「十詩子さん
今日は何だか綺麗だよ」
などと言った事は
今なら
セクハラだと言われそうです。
でも当時は
当たり前で
十詩子は
「なぜわかるんだろう」
などと考えて
少し赤くなりました。

それをしっかり見ていた課長は
「やっぱり
明日はデートだな」
と言い当ててしまいました。

十詩子は
課長が
言い当てたのを
びっくりしました。

それを聞いていた
敬子も
「課長はやっぱり課長だけのことはあるな」
と思ってしまいました。

そんなうきうきした一日も
終わって
デートの日が来ました。
十詩子は
朝早く起きて
用を済ませて
念入りに
化粧をはじめました。

前の日に
薬局で
化粧の仕方を聞いて
買ってきていたのです。
店先では
うまくできたのに
その日の朝は
うまくいかないので
付けたり消したり
試行錯誤の連続です。

あまりにも厚化粧ではいけないし
そうかといって
薄化粧では
少し心配だし
どうして良いかわからなくなりましたが
時間が来たので
十詩子らしく
薄化粧で出かけました。

待ち合わせ場所は
国鉄の尼崎駅です。
当時の尼崎駅は
木造の小さな駅舎で
戦争で燃えてしまったので
急ごしらえで作った
駅舎が
まだあったのです。

相当早く
ついてしまった十詩子は
悟を待ちました。

待ち合わせの時間が
ちょうど来たとき
計ったように
十詩子が
駅の待合室にやってきました。

十詩子は
笑顔で「お早うございます」と言いました。

悟もはにかみながら
「おはよう」と返事をしました。

ふたりは
待合室の
木の作り付けの椅子の座りました。