その時の十詩子の いでたちは 白に大きめの赤の水玉模様の ワンピースに 赤のハイヒールです。 髪の毛は もちろん染めていなくて 黒い髪を お下げにしていました。 白いハンドバッグが とっても清楚な感じで 悟は 昼間の日光の下で見た十詩子に 少し心を奪われました。 かたや悟は 当時の大学生がそうであるように 白のワイシャツに 薄いベージュの ブレザーを着ていました。 開襟で 髪がぼさぼさのところが 十詩子には 頼もしく思いました。 ふたりは待合室で 改めて 自己紹介になりました。 悟: 僕は悟と言うんだ。 ○○大学の2年生なんだ 大学に行っているんだが 経理の勉強もしたくて 専門学校にも行っています。 畑違いだから 少し難しいよ 十詩子: そうなんですか 私は十詩子 今年の春 豊岡から出てきました。 この近くの工場の経理課に勤めています。 社命で専門学校に行っています。 簿記の試験に通ると 資格手当が付いて 給料が少し増えるの がんばっています。 実家に少しでも 仕送りがしたいので、、 悟: 十詩子さんは親孝行なんですね 僕なんか親のすねばかりかじっていて 十詩子さんには 頭が上がらないなー 十詩子: 別に私が学費を出しているんじゃないので 私に言わなくてもいいと思いますよ。 あなたも 勉強にがんばってるんじゃないんですか。 悟: そう言われると 恐縮しますよ 勉強はがんばっていやっているつもりだけど あまり成果が上がらなくて 私の母が 後悔しないように がんばるように と言われているし 十詩子: 後悔しないようにって言われたの 私と同じですね 親の考える事は 同じね 悟: 当面の課題をクリアするために がんばりましょう。 十詩子: そうですね じゃ 中央図書館に行きましょう。 本を借りに 前行ったことあるの 悟: 僕も行ったことあるよ と言って ふたりは 駅舎から出て 自転車で 駅の前の道を まっすぐ南に向かいました。