翌日朝早く
尼崎駅に行きました。
悟と待ち合わせです。
尼崎駅で待ち合わせるのは
何年ぶりでしょうか。
尼崎で住んでいたときの
お部屋が
駅からかすかに見えます。
「前に大学に行くために
待ち合わせしたときは
お弁当を
作ったのよね。
今日は作れないわ
どうしようかな」と
考えつつ
駅で待っていると
悟が
やってきました。
悟:
おはよう
待った?
十詩子:
今来たところよ
今日は
お昼は
どうするの
悟:
お弁当だけど
あっ
そうか
十詩子さんは家からでないから
お弁当じゃないんだ
それは悪いことしたな
十詩子:
別に良いよ
この頃は
お弁当を
家で作る事はないの
会社に社員食堂があってね
みんなと
食べているの
それに
昼食付き会議が
よくあるものだから
悟:
十詩子さんは
忙しいんだね
十詩子:
まあ
会社だからね
うまく使われているの
私ドジだから
悟:
そんなことないでしょう
十詩子さんは優秀だと聞いていますよ
先日
敬子さんに
電車の中でばったりあって
ちょっと話したんですけど
十詩子さん
課長さんなんでしょう
十詩子:
敬子さんそんなこと言ったの
課長ではないのよ
ちょっとしたチームの
リーダーみたいなものです。
課長のような職ではないのよ
悟:
そうなの
でも
役付きで偉いんでしょう。
十詩子さんと
気軽に呼べなくなるかも
十詩子:
そんなことないわ
私は
悟さんの
そばに本当はいたいの
でも、、、、、
ふたりは黙って電車に乗って
梅田で乗り換え
私鉄に乗って
大学に向かいました。
大学は
駅から山手に
少し歩いていくのですが
いつもとは違って
無口に黙々と歩いていきました。