ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの68歳の老人の日記です

ブログ小説「ロフトに住むレジ係」その7

お弁当屋さんの仕事は
朝番夜番に分かれていて
女性の加代美は
夜勤はなかったのですが
残業は多く
休みは
週一度程度です。

加代美は
薄給から
家を借りるときに
父親に借りたお金を
返えしていました。

加代美は
一人暮らしになっても
お金と
時間に余裕がなく
バブルの時の
豪華なレジャーや
食事など
縁遠い存在でした。

働いて
時間がなくなり
お部屋の家賃や
父親への返済
食事に
お金がなくなってしまいました。

加代美は
お化粧とか
ファッションとか
そんなものに
かかわれなくなってしまいました。

休みの日には
何もせずに
お部屋で
呆然と
過ごすことも多かったのです。

幸せとか
不幸せとか
人生のやりがいとか
生き甲斐とか
加代美は
考えないようにしていました。

そんな
不作為な
春が過ぎ
お弁当屋さんにとって
過酷な夏が過ぎ
紅葉の秋が過ぎ
ひときわ寒い冬が過ぎて
また春がやってきました。

暖かい春が来た頃
加代美の
父への返済も
なくなりました。

金銭面で
少しだけ余裕が出来て
加代美は
「何かしようかな」と
いう気持ちになってきました。