ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの71歳の老人の日記です

ブログ小説「冴子の人生は」 その32

結婚して
7年経ちました。

登は
会社では
一番出世で
生え抜きでは
出世頭で
羨望の的でした。

会社には
生え抜き組と
天下り組の
二組があって
べつに対立しているわけではありませんが
生え抜き組は
登を応援していました。

その応援に応えるべく
無理をしていたかもしれません。

朝早くでかけ
夜遅く帰ってくる
帰ってこないときも
時々ある始末です。

子供は
小学校へ行く年齢に
なっても
父の日の
父親参観の日も
運動会の日も
学校に行ったこともありません。

冴子は
大きな家で
帰ってこない登と
登の家に遊びに行っている子供を
ズーッと
ズーッと
待っていました。

子供は
帰ってきますが
登は帰ってきません。

相談する相手もなく
冴子は
孤立していました。

家にいてもすることがないので
午前中は
スーパーマーケットまわりをしていました。

自転車で遠くの
お店まで行っていました。

そんな遠くのお店の
パン屋さんに行ったとき
その
パン職人が
見たことのある顔だったのです。