ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの68歳の老人の日記です

ブログ小説「冴子の人生は」その130

すっかり気落ちした
冴子です。

こんな状態になると
頼るのは
お金だけに
なっていました。

老後の蓄えのため
節約しました。

安い食材で
美味しくなる方法を
会社のパソコンのネットで
調べて
作るのだけが
幸せでした。

ある日
非番の日
スーパーのチラシに
安い牛肉が
少し離れた
スーパーで
売り出されているというので
自転車で行きました。

少し遠い
伊丹まで
自転車に行きました。

スーパーで
久しぶりに
牛肉を買って
嬉しくなりながら
自転車に戻ると
自転車が
パンクしていました。

それで
家まで
歩いて帰りました。

途中で
すれ違った
男性が
追いかけてきて
「冴子サンだよね。」と
声をかけられました。

振り返った
冴子は
血の気が引きました。

それは
あの
事件の張本人Pです。

冴子は
「知りません」と
言いながら
早足で
自転車を
押して
帰るのが精一杯でした。

Pは
「あの時のことを
謝りたいんだ。」と
冴子の
背中に
言いました。

でも
その声は
車の騒音に
かき消されて
冴子には
聞こえませんでした。

ぐんぐん行ってしまう
冴子の
後ろ姿を見た
Pは
「やっぱり
許してもらえないんだ」と
肩を落として
じっと立ち止まっていました。

安い牛肉のために
自転車がパンクするし
一番会いたくないPにも
出会ってしまって
気分は最悪で
アパートに帰り着きました。