登の母親も 孫の結婚で 喜んでいたせいもあって 冴子にも 話をしてくれました。 母親として 結婚式に出ても 良いということで 冴子としては 「許されたかな-」と 思いました。 良かったと思って 帰りました。 数ヶ月後 結婚式に出て 登と並んで座りました。 少し出しゃばっているような気もしましたが 娘たちが 望んだのでそうしました。 あんなことをしたのに 本当にそれで良いのかと 思いましたが きっと それが最善なんだと 思いました。 こんなことがあって 本当に 幸せだと感じていました。 冴子は 過去をある程度精算できたと 思いました。 現在も 会社の関係も サークルや 友達も 良い関係でした。 数年が過ぎ 冴子も もう来年 定年という時に いわゆる 「毒入り餃子事件」が起きます。 食品工場としては 震撼する 事件です。 社長の対応は早く 積極的な 安全管理に 向かうように 冴子に指示しました。 即ち 工場に入場時は 持ち物検査を厳重にして カメラで監視して 複数で仕事をして 工程ごとに 検査する というものです。 この 安全管理を 実行するには 持ち物検査をして カメラで監視する人が 必要となります。 それを 社長は 冴子に するように言ったのです。 そんな憎まれ役を 冴子は したくありませんでした。 その場は 黙って聞いていました。 困った時には やはり 猛に聞いてみることにしました。 猛とは 長いつきあいになっていました。 猛の 家族や 子供とも つきあいが出来るほどの 仲になっていました。 いつものように 猛は 誠実に 答えを探しました。 猛曰く 「安全管理は 最重要課題です。 冴子さんが その重責を果たすのは 適任かもしれません。 監視されているというのではなく 一緒に安全管理しているような 雰囲気を 作ればいいのです。 安全管理すれば 何か良いことが 起こるようにすればいいのでは 例えば ポイントがあるとか 缶コーヒーが当たるとか そんなゲーム性もあればいいですよね」と