脱穀されたお米は 「うっすり」で 籾殻と玄米わけられます。 籾殻は リヤカーに載せられ 田んぼに運ばれます。 そして 火種を入れ 煙突を付け 山のように 積み重ねられます。 籾殻は ゆっくりと 燃えていきます。 煙が 煙突と籾殻の山全体から 出てきます。 そこかしこで 煙が出てきて 晩秋が やって来ます。 北の窓から 田んぼから上がる 煙が 見えると 寒い冬がやってくるのです。 子供心にも わびしい感じが しました。 和歌の枕詞 「猪名の笹原」とは 様子が違いますが 情景は 似たもののように思います。 そんな 煙が ゆっくり立ち上る 秋が終わると また 麦の季節です。 牛が 鋤を引いて 耕し始め 麦作りが始まります。 そんな一年が 終わるのです。 小さな窓から見える 情景は 大きく変わります。 そんな情景を じっくり見ていた 私は 姉が 「ただ今帰りました」と 言う声を聞いて 南の 玄関にいきました。 姉は ランドセルを 持って 勉強部屋に使っている 北の窓のある部屋に 行きました。 窓の前には 父が作った 小さな 机があって そこで 宿題をし始めました。 私は 小学生になったら 勉強で大変なんだなと 思いました。 何もすることがない 小さい頃の方が 良いと 思ったかどうか 記憶にはありませんが 今の私は この頃の方が よかったようにおもいます。 おもちゃも もちろんゲームも テレビも ないこの時代でも 私は 想像は出来ましたから きっと 楽しくやっていたのだろうと 思います。