作法室での お琴の練習は 夕方近くで 終わります。 薫子は 家が遠いので あまり遅くまで できません。 そこで 日曜日も出てきて 練習です。 練習する曲は 正月の琴の曲としての 定番 「春の海」と アンコール曲として 「愛は勝つ」を です。 家には お琴がないので 学校でしか 練習できませんでした。 噂によると 美奈子さんの家には お琴があるそうで 子供の時から 弾いていたそうです。 陽一君については 何もわかりませんが かなりうまい方でした。 正月も 3日から 練習に励んで 高校生活 いや学生生活 有終の美を 飾ろうとしていたのです。 音楽が 苦手な 薫子には 相当のハードルです。 薫子にとっては 最後の晴れ舞台となる 始業式の日が やって来ました。 校長先生の 訓辞が終わって 舞台の 幕が開き 作法クラブの 面々が お琴を弾き始めます。 その中で 一人だけ あでやかな 振り袖姿の 美奈子がいました。 薫子をはじめ 学校の全員は 驚いていました。