1ヶ月に 数回 会って そんなたわいもない 話をするのだけが 楽しみの 登でした。 薫子は そんな話をする 登を 一般の客と 同じように考えていました。 もちろん 登という名前も 知りませんでした。 しかし そんな関係が たぶん 2年以上経つと 薫子の方も 意識するようになりました。 その意識は 全く 小さいもので クリスマスの夜に 陽一君にあった今でも 本当に小さいものでしたが やはり 意識していました。 陽一君の 言葉を 信じるしかない今となっては 薫子は まわりに 陽一君より 優れたひとが いないか 考える中 名前もわからない 登についても 考え始めたのです。 薫子は 夏子ちゃんの育児と スーパーマーケットでの勤務 家事など 忙しく 時間を過ごしながら 考えていました。 登も 社業に 東奔西走し 料理洗濯掃除に 忙殺されながら 暮らしていました。 そんな ふたりの間だけには ゆっくりと 時間は流れました。