社長は 料理人で 研究熱心だったのですが ある調味料を 作り始めました。 醤油とラー油を 混ぜた調味料です。 油と水ですので 普通なら 混ざらないのですが 混ざっている調味料を 作ろうとしているのです。 会社の敷地の隅にあった 昔使っていた 鶏舎が 研究室です。 社長と 一番若い 男子従業員の松井と ふたりで やっていました。 出金伝票が 正子のところに 回ってきて 何やら難しい材料が 書いてありました。 最初わからなかったので その名ばかりの研究室に行って 松井に聞きました。 正子:この出金伝票は 何のためのものですか 松井:研究です。 正子:どのような研究ですか 松井:それは 秘密になっています。 正子:秘密なんですか。 極秘なんですね。 おもしろそうですね。 私も参加したいです。 松井:それは 社長に頼んだら 良いのでは 正子:そんなこと頼めません。 だって私は おバカですもの 松井:それはないでしょう 大学での エリートなのに 私なんか高卒ですよ 正子:学歴ではないと思います。 でも 研究がうまく言ったらいいですね 特許になって 会社が 大儲けできたら 私のお給料も 上がるかしら 松井:それは良いですね 担当者の私は ボーナスが出るかも そんな話をしていると 社長がやってきて 話は終わって 研究が始まったようです。 その日以来 松井は 正子のところにやって来て なんだかんだと 話すようになりました。