ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの68歳の老人の日記です

ブログ小説「スポンジケーキをつくりたい」その9

2010年の春
正子は
松井と松井との間に生まれた
女の子と男の子と
幸せに暮らしていた。

正子は
お料理が好きです。

とくに
松井が
喜んでくれる料理ができたら
正子も
大喜びでした。

松井は
正子とつきあい始めた頃から
お酒は
付き合い以外では
飲まなくなりました。

甘いもの好きになっていて
いろんなスイートに
挑戦していました。

正子が
大福餅や
おはぎのような
和菓子を作ると
松井は幸せそうな
顔で
ゆっくりと
食べていました。

子供にも
大好評でした。

和菓子は得意でしたが
洋菓子は
正子は
苦手でした。

スポンジケーキが
うまく作れないのです。

スポンジケーキをつくるには
先ず卵の白身
あるいは全卵を
泡立てて
メレンゲを作ります。

それなりの
機械を買って
メレンゲを
作ります。

冷えた方が良いので
相当冷やして
作りました。

つぎに
小麦粉や砂糖などを
混ぜて
焼けばいいのですが
正子には
それができなかったのです。

一番単純な
小麦粉と砂糖を混ぜると
泡が立っているメレンゲが
ペチャンコになってしまうのです。

あらゆる本や
インターネットサイト
パテシエに教えうけても
膨らみません。

正子は
何か
呪われているのかと
思うほどです。

正子は
是が非でも
作りたいと思っていました。

正子は
会社では
事前の
先行特許調査を
まかされていたので
先行の
特許がないか
調べてみました。

調べてみると
大手の
お菓子メーカーでは
圧搾空気を使った
連続的に
作り出されるそうです。

大きな機械で
家庭で
置けるような
ものではないのです。

正子は
圧搾空気が
ヒントではないかと
思いました。

お菓子の袋が
山の上に行くと
膨らむことを
使えないかと
思いました。

正子は
子供の時から
早く寝る習慣になっています。

松井もそれに合わせて
9時には
床に入ります。

正子は
夜中
2時頃
目が覚めます。

用をたして
また床についても
寝入りまでの時間
正子は
考え込むのが
日課でした。

正子は
その時間
ズーッと
考え込んでいました。

1ヶ月くらい考えたあと
思いついたのです。

圧搾空気を
液体に混ぜて
それを
もとに戻すと
良いのではという
考えに至りました。

圧力下で
混ぜて
それを
常圧に戻せばいいのだと
思いました。