ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの71歳の老人の日記です

ブログ小説「スポンジケーキをつくりたい」その12

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私が
圧力タンクで
最初に実験して
蓋を開けたときの
衝撃を
今も忘れません。

言葉で
うまく表現できませんが
大きな衝撃を受けました。

2010年の12月20日の
夕方でした。
私が58才の時のことです。

全身から
血の気が引く気がしたのです。

体の震えと
倒れるような
気もしました。

作中の
人生経験が
私よりも浅い
正子が
そのように
感じるかどうか
想像できませんが
小説に戻ります。
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タンクの中の
攪拌機の中の
生クリームの量が
いつも量でないのです。

攪拌機として
有名な
キッチンエイドは
正子が
以前買ったものでした。

生クリームを
ホイップしたり
メレンゲをつくったりして
使っていたものです。

普通に
生クリームを
ホイップすると
体積が
2倍程度に
大きくなるのですが
それが
4倍以上に
ふくれあがっているのです。

正子は
びっくりしました。

ドキッとしました。

そのあと
電話を取りだし
松井で
電話しました。

正子は
何も考えることなしに
反射的に
電話しはじめたのです。

松井が
電話に
なかなか出ないので
正子は
イライラしました。

ながく
呼び出したように
思いましたが
やっと
松井が出ると
開口一番
「松井さん
スゴーイ
スゴーイです。

生クリームが
ホイップクリームが
スゴーイです。

早く
来て下さい。」と
言ったのです。

松井は
圧力タンクで
正子が
実験しているのは
知っていましたが
何かの事故かと思って
研究室から
すぐさま
やって来たのです。

圧力タンク前に立ち尽くす
松井は
安心しました。

ゆっくり後ろから近づいて
正子が
見ている
中を見ると
攪拌機の中に
大きくなった
ホイップクリームを
見ました。

松井も
びっくりしました。

正子以上に
衝撃を受けたのか
しばらく
何も言いませんでした。

そして
しばらくして
ふたりは
目と目を合わせて
抱き合いました。

大きな声で
ふたりは
「やったー
スゴーイ
スゴーイ」と
叫びました。

ホイップクリームを
取りだして
試食しました。

砂糖が入っているので
甘くて
少し軽めの
ホイップクリームだと
感じました。

「美味しい
美味しい」と言いながら
相当食べてしまいました。

外は
暗くなっていました。

会社は
5時定時退社を
勧奨していました。

「残業はしないさせない」というのが
社是です。

正子は
残った
ホイップクリームを
容器に入れて
研究室の
冷蔵庫に入れ
攪拌機を
洗って
仕舞いました。

5時になったですが
社長を
事務室で待っていました。

社長の家は
会社のとなりにあって
戻ってくると
わかるからです。

6時なって
車で帰ってきた
社長に
会って
ホイップクリームのことを
言いました。

社長は
大変喜んで
「よかった
よかった」と
言って
その日は
終わりました。