「じゅんこさん」と 声を掛けたのは 海老沢君です。 順子は 振り返って 「私は じゅんこではありません。 よりこなんです。」と すこし 硬い口調で いいました。 海老沢: すみません。 それは知っています。 でも 私には じゅんこさんなんです。 すこしだけ 話をしても良いですか。 私の話を 聞いて下さい と真剣に言い寄りました。 順子: すこしだけですよ というしかありませんでした。 公園のベンチは 一杯でしたから 下段の縁に 座ることにしました。 海老沢君は ハンカチを出して 花壇の縁に 敷いてくれました。 そんな事されるのは 人生で初めてです。 花壇に隣同士に 座っても 話は始まりませんでした。 前に会ったときには あんなに話が 弾んだのにと 順子は 思いました。 海老沢君から 話が始まりました。 海老沢: 前に出会ったのは 偶然ではないのです。