今まで 宗教的なことに 関心がないというか 懐疑的だった 上羽でした。 合理的に考えると 由美子が 光になって 見ていてくれるとは 思えません。 でも 見ていないとも 一概に言えないということは わかっていました。 四九日が終わると 室内の 飾りのもなくなり 写真と 遺骨だけになりました。 お経を上げる習慣もなかった 上羽ですから 朝晩に 何となく写真を見るだけです。 写真を見て やはり思い出します。 上羽は 仕事をして 忘れることにしました。 それに 一級建築士の 試験がありました。 2年の 実務を経て 受験資格を 得たのです。 夏には 学科試験を受け 年末に 実技を 受けることになっていたのです。 仕事と 勉強に 上羽は 熱中しはじめました。