仕事が終わると
冴子と一緒に
更衣室に行って
服を着替えました。
何と言うことでしょう。
30年前に着ていたであろう
服が
真新しく
ロッカーに吊ってありました。
懐かしい水玉模様の
ワンピースです。
その服は
気に入っていましたが
結婚するときに
古くなったので
捨ててしまっていました。
冴子も
今日の十詩子は変だと
思っていたので
早く着替えて
一緒に退社しました。
冴子と一緒に
真由子は
会社近くの
喫茶店に入りました。
他の所まで行く時間さえ
惜しいとふたりは考えたのです。
冴子:
大丈夫なの
今日真由子
真由子:
私今日は何だか変なの
今日は何日なの
冴子:
今日は23日よ
真由子:
そうじゃなくて
何年なの
冴子:
1979年5月23日よ
何でそんなこと聞くのよ
真由子:
んー
そうなのか
真由子は
本当のことを言っても
冴子は信じてくれないし、
どうしていいかわからなくなりました。
冴子:
どうしたの?
真由子:
んー
今日何だか変なの
突然頭が
ボーとして
変なの
ぼけたのかな
冴子:
何言っているのよ
まだ27歳でしょう
ぼける歳でもないでしょう。
おばあさんじゃあるまいし
真由子:
そうよね
ところで
冴子
冴子は大丈夫?
冴子:
もちろん私は元気よ
真由子は
冴子が亡くなった日を
思い出そうとしましたが
なかなか思い出せません。
確かもう少し暑かったような気がする。
今日では絶対にないと思うので
その日が来るまで
秘密にしておこう。
真由子:
大丈夫
大丈夫
今日どこ行く?
ふたりは
真由子にとっては
本当に久しぶりに
大阪に遊びに行きました。