ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの71歳の老人の日記です

ロフトの奇跡 その35

次の日曜日莉子は
念入りだけど
薄化粧のように見える
お化粧をして
髪は後ろで束ねて
控えめな色の
ワンピースの服を着て
陽一を待ちました。

陽一に迎いにきたので
一緒に陽一の家に行きました。

陽一の家は
一軒家の
少し古めかしそうな家で
立派な門と
毅然と経つ蔵
それに手入れが行き届いたお庭
それに
打ち水がさていました。

玄関に付くと
ご両親が出迎えてくれました。

莉子は
妖精に習ったように
靴を脱いで
腰を落として
靴を横に置きました。

座敷に通されると
これまた習ったように
手を付いて
挨拶しました。

できるだけ立ち振る舞いは
ゆっくりのほうが
優雅でいいと教わっていたので
そのようにしました。

お茶が出てきて
歓談した後
食事になったので
バックから
エプロンを取り出して
食事の用意を
手伝いました。

つつがなく
万事をこなして
暇の挨拶をして
家を出る時は
もう暗くなっていました。

陽一は
家まで
送ってくれました。

陽一:
今日はありがとう
疲れたでしょう。
でも
莉子さんて
振る舞いが
優雅ですよね。

親もびっくりしていました。

莉子:
そんなことないです。
緊張しました。
気に入ってもらえましたでしょうか。

陽一;
もちろんですとも
それよりも
莉子さんこそ
私の両親気に入ってくださったでしょうか


莉子:
とんでもありませんわ。

陽一が帰ると
妖精が帰ってきて

妖精:
よかった
マザコンじゃなかった?
大丈夫だった
私の役目も
一応終わりかな

莉子:
大丈夫みたい
星子さんには
大変お世話になったけど
どう恩返しすればいいの

妖精:
恩返しなんかいらないわ
私はあなたが幸せになったら
それで私の仕事は
完成するの

きっと今回のことで
私褒章をいただけそうよ

莉子:
ほうしょう って何?

妖精:
褒章はね
ご褒美よ

莉子:
具体的には
何なの

妖精:
いろいろあるんだけど
魔法の引換券だったり
有給休暇だったり
神様に頭を撫でられたり

分からないわ
神様は
これだけは
「万事法のなすところ」の
例外だから

莉子:
頭を撫でられるのは
良いことなの

妖精:
それは大変光栄なことなのよ
それに
神様に触られると
神通力が
使えるようになるのよ

莉子;
そうなの
私も触ってもらおうかしら
人間には無理なの

妖精:
いや全く無理と言うことはないけど
神様の目に留まるようなことがないと
もちろん良いことでよ

莉子:
それは無理ね
私は平凡な
OLだもの

妖精:
別にOLでもいいのよ
神様は
そのような
職業で選別しないもの

そんな話をしながら
ふたりは
和気藹々と
過ごしていました。