ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの71歳の老人の日記です

お花見とお月見 その2

子供達だけでするお花見は
もちろん大人の協力があってのことですが
楽しい限りです。

素朴なそんな「お花見のようなもの」は
私の村では
「弁当節句」と呼ばれていました。

普通は
月遅れの桃の節句
4月の3日に行われます。

皆様は御存じない方も多いので
想像ができないかもしれませんが
想像をたくましくして
弁当節句の楽しさを共感していただきたいと思います。

以下は物語ですが、
当時をうまく再現できていればいいのですが、、、
(文中弟は私です。
伏字になっているのは実在のものです。)


明日は
4月の3日
ゆったりと藻川が流れる寒村にも
春の息吹がどことなく聞こえてきます。

遠くには
田起こしをするために
牛を使って鋤を引っ張っている
村人も
春霞の中に見られます。

母親は
橋を越えて住宅にある市場まで
明日の用意のために
海苔とカンピョウ・高野豆腐を買ってきました。

子供は
小学校4年の姉と1年生の男の子です。
姉は弟に
「明日は弁当節句だよ
賢くしていないと
「けと」(短気の方言)のお父さんが
『やめておけ』というかもしれないから
明日の朝出かけるまでは
静かにするんだよ。
そうしたら
明日は楽しい弁当節句なんだから

みっちゃんやよしおくんら皆と
行けるからね
静かにするんだよ」と
言って聞かせました。

弟は
いつもにも増して
父親の前では
賢く振舞うように心がけました。

ご飯を食べる時も
お膳の前に正座して座って
背筋を伸ばして
「いただきます」と言ったきり
静かに食べました。

弟は
明日のことが待ち遠しくて
はしゃぎたくなる気持ちを
ぐっと押さえていました。

無言の食事が終わって
お膳を各自が片付け
棚に仕舞った後も
弟は
ジッと座っていました。

横になったりあくびでもしようものなら
父親の一喝があるからです。


食後のラジオがつけられると
少しだけ
楽にできますが
無駄口を言って
父親の機嫌を損ねたらいけないので
ジッと座ったままでした。

時間が来て
母親に寝るように言われると
寝巻きに着替えて
父親と母親の前に座って
「お父ちゃんお母ちゃんおやすみなさい」と
手を付いて挨拶した後
布団の中に入りました。

わくわくした気持ちが
ありましたが
直ぐに眠りについてしまいました。

そのあと
母親は
麦とお米を洗って
鍋に仕掛けました。