ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの71歳の老人の日記です

アスカル帰還せよ その8

長い火星旅行の
困難は
直ぐに始まりました。

私が異変に気が付いたのは
出発してから
次の日です。

月の重力を使って
探査機のスピードを
上げようとしたとき

明らかに計算値より
多くに燃料を
使っている事に気が付いたのです。

私は
燃料が漏れているのかと思ったのですが
機器で調べる限り
漏れていませんでした。

詳細に調べてみると
機体の重さが
4kgほど重たくなっているのです。

どうも
食料を蓄えている
第2ユニットが重くなっているようでした。

カメラで
第2ユニット内部を
細かく調べてみました。

ジーとモニターを見ていると
食料の陰で
何かが動いているのです。

なおも見ていると
猫が
第2ユニットにいるのです。

猫が紛れ込んでいるのです。

私は地球に直ぐ連絡しました。

地球の管制官は
マニュアルを見ましたが
そのような事は載っていないので
駆除しかないと
判断しました。

地球からは
「遠隔操作で
第2ユニットの
ハッチを開いて
中の猫を
駆除した後
遺体を
宇宙葬にして
追い出す」という指示でした。

そうすれば
確実に猫は死んでしまう事になります。

私にはできませんでした。

でも
地球からは
早く処理するように
言ってきました。
早くしないと
燃料と食料がが不足して
生きて帰還できないという
深刻なものでした。


操作を
私はしようとしましたが
それはできませんでした。

出発前に飲んだ薬の
副作用かもしれませんが
私にはできなかったのです。