退屈な弟は 姉のところにやってきて 「あそぼ」と言いました。 姉は 冬休みの宿題を 一気に片付けたいので 今日は遊びたくありませんでした。 姉: 今日はね 私忙しいの ひとりで遊んできて もうすぐお正月だから 賢くしていたら お年玉を もらえるかもしれないよ 弟: そうかな 弟は 残念そうに 外を見ました。 昨日降った雪が 庭に積もっていましたので 弟は 下駄を履いて 門(かど)に出ました。 門とは庭の事で 農家でしたので いろんな農仕事もできるように 広い庭でした。 弟は 色足袋に 下駄で 庭に 二の字の跡ををつけながら 歩いて行きました。 弟の下駄は 右側が すり減って 坂のようになっていて 少し歩くと 二の字が コの字に なってしまいました。 もうすぐ 新年だから 新しい 下駄が履けるので そんな事に 少しうれしかったです。 弟は 寒いのが嫌いでした だから 庭の雪を触って 雪だるまを 作るような事もなしに 足跡を べたべたつけて 何かわからぬ独り言を言いながら 歩いていました。 後で弟は思うのですが 子供の時は 雪が 多かった思い出があります。