ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの71歳の老人の日記です

新しいブログ小説について

読者から
あまりメールはやってこないんですが
たまたまやってきたメールのはしに
「ブログ小説
この頃ないのですね」
と言うのが
ありました。

と言うわけで
いつものように
構想1分で
筋書きを考えてみました。

登場人物は
誰でもよかったんですが
新しく作るのは
単に面倒だったので
「ロフトの妖精」
の主人公を
そのまま使うことにしました。

結果的に続編になっています。

主人公と結婚した
剛が
定年退職したところから
始まります。

「ロフトの妖精」の続きですので
よかったら
下の限りなく長い
小説を
一度読んで下さい。

もし読むのが
おっくうな方は
あす
あらすじを読んで下さい。

あらすじの方が良いですよね。

いや
あらすじも
読む必要ないかな。

でも









ロフトの妖精 全編

ロフトの妖精 その1
私の名前は
星子です。

アスカルの飼い主のブログ小説を
読んでいる人なら
知っていると思うけど
私は
流れ星の妖精です。

以前
莉子さんと一緒に
『ロフトの奇跡』で
出会いましたよね

莉子さんの
願いをうまく
片付けたので
神様から
長い休暇の御褒美をもらっていましたが
新しい仕事が
できたので
きょう
神政庁にやって来ました。

私の直属の上司のお部屋に
入って
上司の
辞令を聞きました。

今度の
辞令は少し変わっています。

いつもは
個人の願いを叶えるのが
普通ですが
今回は
違うのです。

『急な狭い階段を
落ちて怪我をする人が多いので
簡単に
その問題を改善することを
考える』と言うものでした。

私は
そんな事言われても
わかりませんでした。

人間の家には
何年も住み込んだことがありましたが
階段から落ちたことがなかったのです。

具体的には
どのようにすればいいか
たずねました。

上司は
神様からの
書類を見ながら
「何度も落ちたことがある
人間と一緒に
開発することになっています。
その人間の
詳しい住所は
こちらです。

それから
経費の前払いが
ありますので
こちらをもって
いつものように
経理に回ってください。

いつものことですが
経費はできるだけ
節約するようにお願いします。」
と 紙を手渡されて
部屋を出ました。


私にそんなことを
なぜ
命じるのだろうと
思いましたが
考えても
わからないので
経理課で
小口現金をもらい
書類の住所に
行くことにしました。
ロフトの妖精 その2
書類の住所は
兵庫県尼崎市でした。

いつものように魔法でいくと
経費がかかるので
公共交通機関で
向かいました。

電車に乗って
園田を降りて
それから西のほうに
線路伝いに
5分歩きました。

住所のところには
アパートが建っていました。
2階の
204号室です。
表札には
川口と書いてありました。

「ここね
今は居るのかな
魔法で見てみようかしら

やっぱりやめておこう
経費がかかるし
電気のメーターが回っていないから
きっと居ないのよね」
と考えつつ
外で待つことにしました。

「エー何々
名前は
川口剛(かわくちたけし)
歳は60歳
わー
人間では
年寄りよね
でも私より若いけど、、、、」
そんなことを考えつつ
ズーと
待ち続けました。

妖精は
何よりも
忍耐強くないと
勤まりません。

夜になりましたが
帰ってくる様子がありません。

一晩そこで
過ごしましたが
帰ってこないのです。

付近の人が
不審に思ったら
問題なので
体を透明にしていました。

私は
魔法を使って
立って寝ることもできました。

「夜勤の仕事なのかしら」と
私は思いました。

そして
翌日の朝になった時
ドアが開いて
中から
剛が出てきたのです。

「えー
剛さんは家に居たの
何と言うこと
外で待っていた私は
何なの
魔法を使って
確認すればよかった
電気も使わず
何をしていたのよ」と思いつつ
剛に近づきました。

急いでる様子の剛は
私が近づいてきても
気に留めることなく
通り過ぎていきました。

「あのー
ちょっと、、」
と叫びましたが
剛は
走って
向こうのほうに行ってしまいました。

星子は追いかけることはできましたが
追いかけても
急いでいるので
相手にされることはないと考えて
やめました。 
ロフトの妖精 その3
またドアの前で
待ったのです。

透明になって
10時間後
暗くなりかけた頃
剛は帰ってきました。


私は
近づいて
「剛さんですね
私は
妖精の星子です」
と言いました。

でも剛は
あたりを
不審そうに見渡すばかりです。

星子は
その時まだ自分の体が
透明であることに気が付いたのです。

私が
透明でなくなって
剛の前に
パッと現れたものだから
剛は
驚いて
後ずさりしました。

星子:
私は
妖精の星子です。

剛:
妖精なんですか。
私をどうしようとするのですか。
私は
いいことはそれほどしていませんが
悪いことは
しませんでした。
いや少しはしたけど
神様に怒られるようなことは
したことありません。
私は
無実です!

星子:
剛さん
なんか誤解されていませんこと
私は
あなたに協力するために
やってきたのです。

剛:
何に協力してくれるんですか。
別にあなたの助けを借りるようなこと
していませんが、、、

星子:
神様からの特別の命令で
あなたが
急な階段を
転げ落ちないようなものを
考案するのを
手伝いなさいと
言われてやってきたのです。

剛:
えー
えらい
細かいことを
神様は見ておられるのですね。

星子:
そうですよね
こんな細かいことと思うようなことを
指摘されますよ。
ところで立ち話もなんですので
家に入れてください。
ズーと外で待っていたもんだから
足が疲れて
棒になってしまいます。
28時間待っていたんですよ。

剛:
そんなに待っていただいてたんですか。
でも昨日は
ズーといましたよ。
それはそうとして
家にどうぞ

ロフトの妖精 その4
剛の家は
入り口のドアを開けると
1畳ぐらいの広さの玄関があって
それから直ぐに階段があるのです。
その階段は
星子が経験したことのないような
急な階段で
手すりを持たなければ
怖くて上れないような階段でした。

剛はなれているのか
ひょいひょいと
上っていきました。
星子は
後に付いて
手すりを持って
ゆっくりと上っていきました。

2階に上がると
そこは意外に広くて
それから
綺麗に片付いていました。

剛は綺麗好きだったのです。

居間の窓際のソファーに
私は言われて座りました。

剛は
暖かいインスタントコーヒーを入れて
出してきてくれました。

星子:
ここの階段急ですね
危なくないですか

剛:
そうですね
何回か
滑って落ちました。
夏の薄着の時に
落ちると
背中をすりむいて
痛いんです。

それにお風呂が入れなくなるので
本当に困ります。

でもここ1年は
落ちていませんよ。

星子:
一年は落ちていないって
一年前に落ちたと言うことですよね
それは痛そう
何か対策は
しないですか

剛:
手すりもあるし
仕方がないとおもいます。
それにこの家
階段以外は気に入っているんです。
ところで
あなたは
一体誰なんですか。
何のために来たんですか。
ロフトの妖精 その5
星子:
前にも言ったように
私は
流れ星の妖精で
星子と言います。

神様からのお指図で
あなたに協力するように言われたのです。

剛さんが
急な階段でも
安全に簡単に上り下りできる物を
開発することを
手伝うようにと言われたのです。

剛:
失礼ですが
妖精とか神様とか
えらく超自然的なのに
安全な階段とは
現実的な問題なんですね。
全知全能の神様なら
安全な階段ぐらい
朝飯前ではないんですか。

あなたは
本当に妖精なんですか。
私の目の前に
ぱっと現れたときには
一瞬
そうかなと思いましたが
何かトリックを
使っているんじゃありませんか。


星子:
剛さんがそう思うのは
無理はないと思いますが
それに間違いないんです。

神様が
安全な階段を
作るように
指図された意図は
私にはわかりませんが
そうなんです。
指図されたことを
実行しないと
私が懲罰を受けるんです。
信じてください。

剛:
信じてくださいと言われても
何か信じられない。
あなたのような
若くて美しい方が
どうして
わからないです。
もしかして
これはドッキリカメラですか。
どこかにカメラがあるとか

星子:
カメラなんかありません。
私が妖精であることを
証明しましょう。
一番これが皆様信じるみたいなので
剛さんと一緒に空を飛んでみましょうね。

そういうと
星子は
星が先についた
小さな棒をパッと出して
それを
振りました。
そうすると
星子と剛は宙に浮かび上がりました。

星子:
これでどうですか

剛:
これでどうですかと
言われても
浮かんでいますね
これはトリックではないですよね
でも 宙に浮くって
面白いですね。

階段に落ちそうになると
これで宙に浮いたら
安全じゃないんですか
うー
宙に浮いた感じ
いいですよね
これで寝たら気持ちがいいですよね。

星子:
楽しんでもらえて
ありがとうございます。
下ろしていいでしょうか。
魔法を長く使うと
経費がいりますので

剛:
残念です。
もっと飛んでいたかった
あなたが
超自然的な力を
持っていることは
わかりましたが
そんな力を持っていたら
私に協力しなくても
あなた自身で
パーと
解決してみたらどうですか
私のような凡人に
頼まなくても

星子:
神様は
自然のことは万物の法則に委ね
人間のことは人間に委ねなさいと
いつも言っておられます。

きっと
安全な階段は
人間が考えるべきものと
思っていらっしゃるんじゃないですか。

剛:
そうなんですか
ところで
あなたは
どんな風に
私に協力してくれるんですか。

ロフトの妖精 その6
星子:
具体的には
わかりません。

剛:
お金を援助していただけるんですか。
それとも技術を教えてくれるんですか

星子:
さー
私にはさっぱりわからないんです。
お金ではないと思います。
私はいつも
経費節減を命じられていますから、、、
それ以外のことは知りません。
階段から墜ちると言う事自体
私にはよくわからないもので

ところで
剛さん
私いつも協力者の家に
住み込みでお願いしているんです。
私ここでこの仕事が終わるまで
住んでもいいですよね。


剛はその言葉に
びっくりしました。
妖精は
見るところ
うら若い女性としか見えません。
それが
60歳の男性の部屋に
住み込むなんて
驚き以外の何物でもありません。

剛は
言葉を失って
目を回しそうになりました。

星子:
ホテルに泊まったりすると
経費がかさみますので
経費削減の折ですので
お願いできますよね

剛:
それは困ります。
こんな小さな部屋のどこに
あなたが寝ると言うのですか。

私は
周りを見回して
ロフトを見つけました。

星子:
ロフトがあるじゃにですか。
あちらのロフトで
住まわせてください。
前の時もロフトで
快適に暮らしました。
今度のロフトも
明るくていい場所じゃないですか。

剛:
そこは私が寝ているところ

星子:
大丈夫です。
私が
お布団を下ろしてきますから
家事は得意なんです。
お料理も作りますから

剛:
そういうことじゃなくて
困るんです。

星子:
私は全く困りませんから
お願いします。
私は料理が上手なんですよ。
何でも作ります。
夕ご飯の支度しますね。
今日は何を予定されていたんですか。

そう言って
私はキッチンの
冷蔵庫をあけ
どんな具材があるか見ました。

冷蔵庫の中には
いろんなものが
きっちり整理されてありました。
ロフトの妖精 その7
星子:
どんなメニューが好きですか。
お肉があるし
豆腐ねぎ、、、、
何でも揃っていますね。
すき焼きでもしましょうか。
関西だから
割下を使わないで作るんですよね。

剛は突然冷蔵庫を開けられ
私の強引さに
唖然としていました。

剛:
あ、、
いいですけど
、、、

星子:
新聞でも読んで
テレビでも見ていてください。
それから
階段のことも考えて置いてください。

剛:
あー
そうですか、

そうですよね
、、

私は
すばやく
野菜を洗い
切って皿に盛り
それから鍋を出して
肉をいためて
、、、、、
、、、、

星子:
甘口が好きですか。
関西ですから
砂糖大目かな

剛:
あ
それで
、、、

剛は
今日 本当は
すき焼きなどではなく
餃子を作ろうとしていたのですが
、、、、、
星子の強引さに負けたのかもしれません。

食卓の上に
鍋やお皿
お箸を並べて
料理の出来上がりです。
卵も出して
剛を呼びました。

剛は
毎日食事を自分で作っていたので
こんなことは
ちょっと大げさかもしれませんが
青天の霹靂でした。

この家に
誰かが来るのは
何年ぶりでしょうか。
剛は
作られた
すき焼きを
無口に
おいしくいただきました。

星子:
如何でしたか
味はこんなものでいいですか。
もっと薄味のほうが
いいですか。
あっ
言い忘れましたが
私の食費は
私が出しますから
御心配なく、、、

(お茶を飲んでから
後を私は
片付けました。
剛は
片付けるくらい
自分でやると
言ったのですが
私がしました。)


ロフトの妖精 その8
星子:
剛さん
私お風呂使ってもいいですか
2日も入っていませんので、、

剛:
えっ
、、、
うちの風呂
小さいですよ
それに脱衣場もないし
私部屋を出てきましょうか、、

星子:
大丈夫です。
私透明になってから
お風呂に入りますから
見られませんよ。
御心配なく

そういうと
私は
杖をだして
一振り
一瞬にして
私の姿は
見えなくなりました。

剛は
それを見ていて
またも驚きました。
なにやらガサガサと
音はしますが
姿は見えず
それから
お風呂のドアが開いて
また締まって
シャワーの音が
バサバサして
、、、、、、
、、
、、、

剛は
見ても見えないのに
見ないようなフリをしながら
見ていました。

それをしっかり
私は見ていたのです。


私は
服を着た後
魔法を
解いて
姿を現しました。

星子:
お風呂お先でした。
剛さんもどうぞ。

ロフトのお布団下に下ろしますね

そう言って私は
剛のお布団を
下ろしました。

ベッドが
あったほうがいいので
魔法で
ベッドを出しました。
そしてその上に
お布団を敷いて
出来上がりです。
私は
ロフトにお布団を出して
寝る用意をしました。

星子:
これでいいですよね
剛さん
お風呂に入ったらどうですか
あっ
大丈夫ですよ
私見ませんから、、、

剛:
そんな

星子:
じゃ消えときますね。

そう言って
私は透明になりました。

剛は
辺りを見回しながら
急いで服を脱いで
お風呂に入りました。

私は
それを見ていて
「剛さんて
恥ずかしがりやなんだ」
と思いました。

お風呂から出てきて
剛が服を着たので
私は
また姿を現しました。
ロフトの妖精 その9
星子:
階段のことなんですけど
何か言い考えありますか。
この急な階段ですよね。

剛:
階段から落ちないようにするには
ゆるい階段にするしか
方法はないのでは
でも
緩い階段にすると
きっと
ドアより
外に出て
道路にはみ出てしまいますよ。


星子:
そんなことなら
神様は
私に命じません。
きっと何か方法があるんだと
思うんです。
そもそも階段から
落ちるのは
なぜですか。

剛:
そんな根本的なことを
きっと急だからじゃないですか。

星子:
急だとなぜ落ちるのですか。

剛:
足を乗せる部分が
少ないから
落ちてしまうのでは


ふたりはそんな話をしながら
階段を実際に降りてみることにしました。

いつもの階段ですが
考えながら
剛は下りました。

後から
私も下りました。

私は下りる時
ふくらはぎを
打ちました。

そのことを
剛に言うと
剛はそんなことはないと言いました。

ふたりで違うのです。
この違いは何かと
ふたりで話しました。

もう一度
上ったり下りたりしました。

そうすると
私と剛さんの違いが
わかりました。

それは足の大きさです。

私の足は
22cm
剛さんの足は
27cmです。

私は、
階段を下りる時
なるべく足の裏の多くが乗るように
足の踵を
階段の隅のほうに寄せます。

そのために
階段の前の段の
出っ張ったところが
足のふくらはぎのところに
当たるのです。

一方
剛の足は
大きいので
いくら無理をしても
真っ直ぐでは
段の上に
乗りません。

そのため
剛は
足を斜めにして
下りるのです。

こうして下りますので
私と違って
ふくらはぎを
打つことがありません。

ここまではわかったのですが
それ以上のことは
わからないので
今日は寝ることにしました。
ロフトの妖精 その10
私は
歯を磨いて
お化粧を落として寝ました。

寝るときに
剛に
「私は寝ます。
お休みなさい。
私は寝るときには
魔法で目には見えないバリアを
張っておきますので
決して私に近づかないでください。
私に近づくと
バシッと
電流が流れたような感じになって
飛んでしまいますから。
くれぐれも注意してくださいね。

声は聞こえますから
なんかあったら呼んでください」
と言って寝ました。

剛は
なんかわけがわからないような
顔をして
こちらを見ていましたが
しばらくして
電気が消えて
ふたりは寝てしまいました。


翌日
少し明るくなったので
私は起きて
朝ごはんを作りました。
剛は目が覚めているようですが
寝ているようなフリをしていました。

60歳だと言うことを考えて
味噌汁と魚の焼き物・野菜サラダを用意しました。
昨日7時30分ごろ家を出て行ったので
6時半ごろ
剛を私は起こしました。

星子:
剛さん朝ですが
起きませんか。
朝食できているんですが、、
お早うございます。

剛は今目覚めたように
起きてきました。

剛:
お早うございます。
朝ごはん作っていただき
ありがとうございます。

星子:
よく寝られました。

剛:
ぐっすり眠りました。

剛は
ぐっすり眠れたと言っていますが
目は赤くて
あまり寝られなかった様子です。

私がいると
「やっぱり寝られないのかしら
悪いことしたわ」
と思いつつ
何も気付かないようなフリをして
朝食を
無言で食べました。

星子:
お弁当持って行かれますか

剛:
いいです。
そんな事までしてもらったら

星子:
大丈夫ですよ
朝作ったものを
入れるだけですから
作りましょう。
弁当箱もあったから。
ご飯は
多い目ですか

剛:
普通でいいです。

私は
急いで
作りました。

それを包んでいる間に
剛は身支度をし
嬉しそうに
弁当をカバンに入れて
出かけました。
ロフトの妖精 その11
私は
外まで見送ろうとしましたが
「やめてほしいと言うので」
止めました。

剛が出かけた後
後片付けをして
掃除洗濯をしたのち
少し休憩をして
お部屋を見回しました。

剛のお部屋は
昼見ると
整理が行き届いていて
殺風景な感じです。

写真とか
ポスターとか
壁に貼ってありませんでした。

「本当に
何もないお部屋ね」
と考えならら
「剛さんは
好きな人もいないんでしょうね

そんなことどうでも
いいことよね
大きなおせっかいだったわ」
思い直し
階段のことを
考えました。

私は
階段を
何度となく
下りたり
上ったりしました。

でも
名案は
浮かびませんでした。

「そんなこと無理なのかしら
神様は
どんな風に考えていらっしゃるのかしら
一度聞いてみようかな

面会の申請を
出しておきましょうか。

でも3ヶ月先じゃ
ダメかな

こんなことで
3ヶ月も
ここにいたら
勤務評定が
悪くなってしまわないかしら。

でも
この任務は
妖精の仕事ではないよね。
特に星の妖精の
私の仕事ではないよね。

もっとロマンティックな
仕事にして欲しいものだわ。

階段つくりって

でもこれも神が与えた
試練なのかもしれないな」
と思いつつ
なおも上り下りして
考えましたが
結局
足が棒になってしまっただけです。
ロフトの妖精 その12
そして
夕方になったので
お買い物をして
家に帰りました。

家に入る時
隣の人が
私を見るので
軽く挨拶して
「父がお世話になっています」と
言ってしまいました。

でも
その隣人が
何か笑いながら部屋に入るので
気になってしまいました。

そこで
魔法を使って
隣人の様子を
壁越しに
透かしてみて見ることにしました。

これは経費が要るのですが
どうしても気になったので
やってしまいました。

このころ隣の家では
私のことが
すごく話題になっていたのです。
隣の家は
若夫婦が話しているのです。

その奥さんのほうが
私が
昨日の晩剛と会っているところと
部屋に入っていくところを
見ていたのです。

隣の夫婦は
私と剛が
そんな仲で
『お泊り』までしている
と話し合っていたのです。

「それに父がお世話になって
と言っているが
隣の人は
結婚したことがないのに
娘なんかいるわけがない」
と話しているのです。

下世話に言えば
「60歳の剛が
若い女を
部屋に連れ込んだ」と話していたのです。

私にとっては
全く心外なことでした。
妖精と
人間が
仲良くなるなんて
考えられないからです。

それに
剛の名誉というか
潔白がなくなると
剛が困るじゃないの
と思いました。

娘だと
嘘をついたのが
火に油を注いだのかもしれません。

階段のことより
このことのほうが
問題だと思いました。
ロフトの妖精 その13
剛が知ったら
きっと私は追い出されて
任務が果たせなくなるに違いないと
思いました。

そこで
隣人に
暗示をかける事にしました。

魔法で
隣人に私が
剛の
娘だと
思っていもらうのです。

「今までは
単身赴任だったが
娘が
こちらの職場に変わったので
一緒に住んでいるという」
暗示をかけました。

隣人は
わりと
素直なようで
少しの魔法で
そのように思ってしまったようです。

その暗示を強くするために
アップルパイを作って
隣人に引越しの
挨拶をしました。

隣人はその場では
すっかり
私が
剛の娘だと信じ込んだ様子でした。

料理を作って
待っていると
昨日より
早く帰ってきました。

なにやら
箱のようなものを持って
帰ってきたのです。

私が
『お帰りなさい』と言うと
剛は
弾んだ声で
『ただいま
これ買ってきたんだ。
妖精の君の口に合うかどうか
わからないけど、、、
妖精って
何でも食べられるんだよね。

見るところ
人間と変わらない様に見えるけど
魔法の使える人間と
同じと見てもいいのかな』
と
何かわからないことを
話してきました。
ロフトの妖精 その14
星子:
妖精は
今は
このような形をしているけど
それは人間の世界にいるから
私の形は
どんな風でも
変われます。

私は形があって
ないようなもので
神様と会うときは
精神だけで話ができるんです。
少し難しいけど
わかります?
でも今は人間の形をしていますから
甘いものは好きですわ。
ありがとうございます。

剛:
そうなんですか
あなたの形は
ないのですか
あまり理解できないけど
この家にいるときは
魔法が使える
人間なんですよね

星子:
そう言えば
そうかもしれません。
それから
私は
隣の人には
剛さんの
娘と言うことにしてありますので
よろしくお願いします。

剛:
あっ
そうなの
そうですよね
私の歳じゃ
あなたは娘ですよね

と少し残念そうに
剛は言っているように
見えました。

ふたりで
食事の後
ケーキを食べて
今日剛さんの会社にあったことや
私の妖精界のお話や
神様のことを
話したりして
その日は終わりました。

階段のことも
何回か話題には出ますが
名案が
ふたりには出ませんでした。

そんなこんなで時間が過ぎていきました。

ロフトの妖精 その15
2週間ばかり
私にとっては
無為に時間が過ぎていきました。

そんな時に
神様から
呼び出しがありました。

任務遂行中に
神様から
呼ばれることは
希な出来事です。

直属の上司に
呼ばれるのが普通なのに
いきなり神様に
呼ばれるなんて
何か懲罰でも
と考えてしまいました。


神様に呼ばれていることを
剛さんに言うと
「星子さん帰ってしまうんですか」と
真顔で聞いてきました。

私は
「いえ
たぶん
そんな事はないと思います。
現在の任務について
何か助言でもあるのかと思います」と
答えましたが
内心では
『それもあるかも』
と思ってしまいました。

会社に行く剛さんを
見送ってから
私も
出かけました。

電車で
妖精界の入り口まで行ってから
神様の力を借りて
一気に
神様のもとに着きました。


神様は
同時に
1000以上の
案件を
決済するのですが
私がお目通りをしたときには
私しかいませんでした。
ロフトの妖精 その16
神様:
任務の遂行に問題はありませんか。

星子:
任務が遅れていて申し訳ございません。
何分どうして良いのか
わからないのです。

神様:
そうだと思います。
そんな2週間くらいで
解決するような問題ではないです。
きっと
何年も要することになると思います。

経費が
要るようですから
経理課の方に
私から言っておきます。
星子は
剛と一緒に暮らしているけど
何か問題はありませんか。

星子:
剛さんは
良い人なんで
なんの問題もありません。
でも
剛さん
階段のことを
考えているようですが
名案が
出る様子もありません。
何となく思うのですが
剛は
わざと名案が浮かばないようなフリをしている様にも見えます。

神様:
それは何故ですか

星子:
はっきりとはわかりませんが
思いつくと
私が
帰ってしまうことを
恐れているのかもしれません。

神様:
そうですか
よくわかりました。

星子は
この任務を
早く片付けたいですか

星子:
剛さんの家は
暮らしやすいので
神様が
お許し下さるのなら
このまま任務を遂行したいと思います。

神様:
そうですか。
ゆっくりと
よい方法を考えて下さい。

星子:
立ち入ったことを
お聞きしますが
私の任務は
落ちない階段の開発だけですか。
もっと他にあるのですか。

神様:
何故そんな事を
聞くのですか

星子:
先輩の妖精に聞きましたが
こんな任務を与えられたことは
ないそうなんで
もっと他に神様は考えておられるのではと
思いまして

神様:
星子は
聡明な妖精ですね
でも詳しいことは
話せません。
しっかり任務を遂行して下さい。
今日はご苦労様でした。

と言われると
私は
剛の家にすーっと帰っていました。
ロフトの妖精 その17
私は
神様に直接呼ばれることなど
ご褒美の時くらいなので
まったくわかりませんでした。

でも
「神様がゆっくりしてもよい」
と言うし
いつも節約節約というのに
経費もたくさんもらっているし
剛さんは優しいし
美味しいものは
買ってきてくれるし
休みの日には
いろんな所に
連れて行ってくれるので
ゆっくりとしようと思いました。

そんな事を思いつつ
数ヶ月が過ぎ
季節は
春になりました。

私は
春になるまで
何も考えていないというのではなく
いろんなことを
考えていたのですが
思いつかなかっただけです。

でも剛さんは
私の前では
考えているフリをしていて
常に
メモ用紙に
階段の絵を書いていました。

でも
それから
少しも進まなかったのです。

週初めから
いろんな観光案内書や
ガイドブックを
楽しそうにみながら
「今度は
どこに行こうか」と
言ってくるのです。

私も
剛さんと話していると
楽しいので
とりとめのないことを
なんやかんやと
話して過ごしていました。

そんな春の週末
花見に出かけることにしました。

夙川の
河畔の桜が美しいというので
前の日から
用意した
食材で
お弁当を作って
出かけました。

もちろん
レジャーシートも忘れず
そのほかにも何やかや持って
電車で出かけることに
なりました。

ふたりで出かけるのは
もう何十回も出かけているので
要領もよく
役割分担ができていて
身支度を調えて
階段を下りました。

下の玄関まで行ったとき
私は
鍵を持って下りてくるのを
忘れてしまっていたのです。

「あっ
鍵 忘れた」
と私が言うと
剛さんが
「取ってくるよ」と階段を上りました。

少し早足です。

鍵が直ぐに見つからなくて
少し手間取っているようでした。

「私も上がって探しましょうか」と言ったら
上から
「ありました」と
声が聞こえて
剛さんが
階段を急いで
下り始めました。

私はぼんやりとみていたんですが
剛さんが
上から4段目に
左足をかけたとき
左足が
階段を踏み外して
滑り落ちたのです。
右手は
手すりを持っていましたが
体は
左後ろの方に
こけ始めました。

ロフトの妖精 その18
私は
「あっ」と
叫ぶが早いか
魔法の杖を
出すのが早いか
それを
振っていました。

とりあえず
時間を私は止めたのです。

時間を止める魔法は
世界的ですので
すごくエネルギーが要って
経費がかかるのです。

剛は
左足を滑らし
右足が
階段から足が離れるかどうか
というところでした。

私は
この滑り落ちる瞬間を
録画しておきました。

そして
時間を少し戻して
階段上まで
剛を後退させ
時間を元通りにしました。

時間が始まるとき
私は
剛の手を
後ろから引っ張って
「ゆっくりに」と言いました。

剛は
何もわからず
突然私が後ろから引っ張ったので
びっくりして
「星子さん
いつの間に上に来たの」と言いました。

その場は
「後でね」と言って
駅に急ぎました。

夙川の桜は
本当にきれいで
桜の木の下の
眺めの良いところに
シートを敷いて
座りました。

風がなくて
陽が暖かくて
気持ちよい天気でした。

まだ昼間で時間があるので
桜をみながら
私は
剛が階段から落ちたときの事を
話し始めました。

星子:
家でね
剛さん
階段から落ちかけたのよ
私が突然後ろから出てきた時よ

剛:
えっ
そうなんですか
ありがとう
魔法で助けてくれたのね
魔法って便利ですよね
星子さんが
ズーッと
いてくれたら
階段からきっと落ちる事など
ないのにね

星子:
それもそうだけど
神様からの任務もあるから

剛:
そうなんですよね
星子さんは
任務があって
来てくれているんですよね
任務
任務、、、

星子:
そのことなんですけど
剛さんが
落ちるところ
録画しておいたんです。

剛:
えっ
ビデオか何かで

星子:
ビデオじゃなくて
魔法で

ロフトの妖精 その19
剛:
へー
魔法なの
どんな風にしてみれるの


星子:
バーチャルなビデオのような
3Dのような
映像よ
見てみます。
3次元だから
見る方向を変えると
裏側も見えるのよ

剛:
すごい

星子:
でも大声を出したら
ダメですよ

他の人が
おかしな人と思うから

じゃ出しますからね

私はそう言って
魔法の杖で
剛が落ちるときの
映像を
角度を変えながら
何度も
映し出しました。

もちろん
みえるのは
私と剛だけです。

剛は
じっくり見ながら
うなずいて
何かわかってしまったような顔をして
こちらを見ました。

剛:
わかりました。
こんな風に
いつも階段から落ちているんですね。

何度も落ちているのに
わかりませんでした。

星子:
剛さんわかったのですか
私には
わからないけど

剛:
残念、、
いや
わかりました。

落ちるのは
足を斜めに
階段の踏面に乗せているためで
斜めに乗せているものだから
ちょっと前にいっただけで
滑り落ちてしまいます。

この滑り落ちるのを
防ぐには
足を乗せる所を
広くしなければなりません。

星子:
つまり大きな階段に
つけ替えるという事ですか。

剛:
別につけ替えなくても
良いみたいです。

星子:
どうするんですか

剛は
その方法がわかって
残念であるように思えました。

私も
そんな方法がないと思っていて
いつまでも
剛と一緒に暮らせると
思っていたのに
思いがけない
ことから
剛は
その方法がわかってしまったのです。


ロフトの妖精 その20
剛は
あまり話したくない様子でしたが
誠実な剛には
わかったのに
わからないようなフリをして
すごす事ができないのでした。

剛は重い口で

剛:
階段は
交互に足を乗せる所しか
使いません。

右足を乗せる所を倍の広さに
そして左の足を乗せる所だけを
倍にするのです。

もちろん交互に足を運びますから
交互に
階段を広くするのです。

そう言って
剛は
紙に
絵を描きました。

こんな風に
右足を乗せる所を
広くします
その広くする幅は
下の段の幅と同じです。
右足を乗せる所に
直ぐ下の
右足を乗せる所は
必要ありません。

左足も同じです。

こんな風に
交互に
伸ばしていくのです。

剛のその説明に
私も納得しました。

それから
剛は
桜の木の下で
桜を見ながら
黙っていました。

私も
目を合わさないように
桜を
黙って眺めていました。


何時間が過ぎたのでしょうか。

同じ桜の木の下で
子供ずれの
家族が
大騒ぎをして
それで
私と
剛は
現実に戻りました。

剛:
お弁当でも食べましょうか。

星子:
そうですよね
そのために持ってきたのに
たぶん美味しいですよ
たぶんですけど

剛:
星子さんの作る物なら
美味しいに決まっていますよ

星子:
ありがとう

そういって
私と
剛は
またつまらぬことを
いろんなことを
話し始めました。

剛も私も
できるだけながく時間がかかるように
ゆっくりと食べました。

ゆっくりと食べていても
お弁当は
なくなります。
隣の家族が
帰った後
静まりかえった
桜の木の下になりました。


ふたりは
荷物を片付け
家路向かいました。

ロフトの妖精 その21
家に帰った後
ふたりは無口でした。

そして
寝る時間になり
私は
バリアせずに
眠りに入りました。

少しウトウトとしたとき
目の前が
パーと明るくなって
私は
神様の前に
やって来ていました。


こんなことは初めてです。

神様に呼ばれるときは
上司から呼び出し状が届くのですが
突然
神様に呼ばれる事など
今までに聞いた事がありません。

私は
頭の中が真っ白になってしまいました。

神様:
星子
今日おまえを呼び出したのは
聞きたい事があるからです。

星子:
神様
私何か
問題を起こしたでしょうか。
階段についての課題なら
剛が
解決したように思います。
ながくかかりましたが
解決済みです。

神様
私をお許し下さい。

神様:
星子
何もあなたを責めるために
呼び出したのではありません。

聞きたい事があるからです。


星子:
どのような事でしょうか。

神様:
星子は
剛の事をどのように思いますか。
前に聞いたときには
良い人だと言っていましたが、、

星子は
この問を不思議に思いました。

神様の力
神通力を持ってすれば
私の心など
お見通しのはずです。

私が
剛の事を
どのように思っているかなんて
直ぐにわかる事で
それを聞いてくるのは
それも
忙しい神様が
わざわざ私を呼び出して
聞くなんて
私には不可解でした。

星子:
神様が思っていらっしゃるとおり
剛はよい人間です。
誠実な人柄で
人間の中では
希有な存在です。

神様:
そうですか
でも私が聞いているのは
そんな事ではありません。
剛の事が
好きかどうか
愛しているかどうか
よく人間が
愛しているというような感情かどうか
聞いているのです。

星子はこの問に
またまたびっくりしました。

私は妖精
剛は人間
妖精が人間を
好きになるか
愛するようになるかという事を
聞いているのです。

人間同士に
愛情がある事は
知っていましたし
何となくその感情を
理解できるのですが
それを
剛と私の間にあるかという問に
私は
答えられませんでした。

でも神様は
私の心の中を
読んでいました。

神様:
星子
おまえは
剛を好きではありませんか。
できれば
一緒に暮らしたいと
思っているでしょう。
階段の課題を解決したので
剛と別れなければならないと
考えているのでしょう。

前に
星子は
私に
階段の課題以外に
何かあるのかと聞いた事がありましたね。

さすが星子の事だから
私の企てを
見抜いていると
思っていました。

私は
人間をはじめとする
自然界が
幸福になる事を
目指して
神通力を使っています。
代々の神様が
そうであったようにです。

でも
私の
部下である
妖精も
幸せであるべきだと考えたのです。

妖精が幸せにならないと
幸せを実行できないと
考えるからです。

私は
妖精の幸せが
人間のそれと
同じではないかと
考えたのです。

そこで
星子に
お願いしたのです。

星子
おまえは
剛と
一緒に暮らしたいと
思いませんか。

私には
暮らしたいと
見えているのですが、、、

星子:
神様
そんな考えがあったのですか
私が
任務もなしに
剛と一緒に暮らす事が
できるのですか。

神様:
一緒に暮らす事を任務したら
何の問題もありません。

経理課が
うるさいので
経費は
少しだけでお願いしますよ。
いつものように
魔法は
使えないと思います。
少し不自由になるとおもいますが
それでも良いですか

良いみたいに見えていますが、、

星子:
ありがとうございます。

私がそう言うと
スーと
またロフトに私は
戻っていました。

剛は
下で寝られないのか
寝返りを打ったり
トイレに行ったりしていました。

翌日
剛は
赤い目をして
起きてきました。

剛:
おはようございます。

星子:
おはようございます。
よく寝られましたか

剛:
ぐっすり寝られました。

星子:
無理してません。
目が真っ赤ですよ。
そんなので
会社に行って大丈夫ですか。

剛:
いえ
大丈夫です。
それから
星子さんは
いつ帰るのですか

星子:
いつ帰る?
あー
大丈夫です。
まだ帰りません。
もう少しここにおります。

剛:
もう少しはおられるんですね。
もう少しって
妖精の
もう少しは
どのくらいなんですか

星子:
そうね
妖精のもう少しは
人間には
少し長い期間かもしれない
詳しい事は
帰ってから話しましょう。
それに階段は
考えだけでしょう
実際に作ってみないと

そう私が言うと
安心したのか
いそいそと
用事を片付け
お弁当を持って
出かけていきました。

私は
「剛は
わかりやすい性格よね。
あんないい人が
ひとりで
居たなんて
考えられないわ」と
思いました。

ロフトの妖精 その22
私は
経費が削減されるので
節約をし始めました。

ちょっとでも手持ちの
お金がなくならないように
しなければ
剛とうまく暮らせないと考えたのです。

ドラマでは
「お金がなくても愛があれば」
とよく言っていますが
あまり信じられませんでした。

幸せに暮らすためには
お金が必要だと考えていたのです。

電気や水道・ガスなんかを
節約する方法を
お隣の人に聞いたりしていました。

夕方になると
いつもより早く
剛は帰ってきました。

食事を楽しくふたりでしたあと
剛は話を始めました。

剛:
階段を
実際に作ってみようと思います。
土日に作ってみますので
これからは
土日は出かけられません。
不自由をおかけします。

星子:
そんなこと
当たり前です。

でも剛さん
あまり無理しないで下さいね。

それから、、、

剛:
それから
星子さん
朝に
しばらくは
こちらにいると言ってましたが
本当なんですか。
階段ができれば
任務が終わって
帰ると前おっしゃっていた様に思いますが

星子:
それが
、
、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、、
、、、、、
神様が
新しい任務を
命令されたので

剛:
新しい任務って
何ですか
もっと難しい事を
私に考えなさいと
いうものなんですか。

星子:
いや
、、、
その、、、、

あの、、
そうだ
『考えた階段を
広めなさい』
という任務です。

私は
一緒に暮らすなど
言えませんでした。
顔が真っ赤になったように感じました。

ロフトの妖精 その23
妖精が嘘をつく事は
許されません。

それも根幹となす任務の事を
人間に嘘を言うなど
懲罰の対象になるはずです。

懲罰になったら
神聖界に閉じ込められ
当分は人間界に来られない事は
確かです。

私は何故あんな嘘をついたんだろうと
反省しました。

正直に
剛と一緒に暮らす事が
任務になったといえば
よかったのに
何故か
考え込んでしまいました。

妖精のすべては
上司が監視しています。
私の嘘も
直ぐに神政庁の知るところになるでしょう。

それから数日私は
びくびくしながら
本当の事を
剛に話そうか
それとも
上司に始末書を出そうか
悩んでいました。

そんな悩んでいる私とは
正反対に
ルンルン気分で
休みの日に
ホームセンターへ
材料を探しに行きました。

私も誘われましたが
行く気分にはなれずに
家にいました。

なにやら買ってきて
作り始めました。

夕方になって
私がご飯の支度を
始めた頃
階段の下から呼ばれました。

一段だけ
できたのです。

剛は得意げに
私に説明しました。

剛:
これを全段作るんだけど
一段だけ作ってみたんだ。

板に
高さを調節できる
ターンバックルをつけます。
このターンバックルは
建築で使う
束に使うもので
説明書きでは
2tの重さにも耐えられるものらしい

階段の高さに
板を合わすのが
簡単だから
これが良いんだ。

星子:
賢いのね
剛さん

難しいのに
1日でできるなんて

剛:
まだ1段しか作っていない
明日残りもがんばってみます。

星子:
無理しないで下さいね

ロフトの妖精 その24
翌日の日曜日も
剛は
階段作りに
専念していました。

いつもの
日曜日の朝は
近くの喫茶店で
ゆっくりと
モーニングサービスで
コーヒーを飲むのですが
今日は
家で朝食を軽く食べ
ホームセンターに行きました。

今日は私も一緒について行きました。

一緒に行きたかったからです。

神政庁から呼び出し状が届くと
もう会えないかもしれないから
すこしでも
一緒にいたかったのです。

その日は
私は
剛の後ろをついて
階段作りを
見ていました。

夕方になって
ついに
階段ができあがりました。

まず剛が
下りました。

剛は
「これで大丈夫
もう落ちる事はない

神様にもそんな風に
報告して下さい」
と私に自信満々で言いました。

私もつづいて下りて
「本当に下り易い階段になりましたね。
ふくらはぎも打たないし
これなら
絶対に落ちないですよね」と
剛に答えました。

剛は
満面の笑みで
私は
少し不安げに
喜びあいました。

剛は
できあがったお祝いに
これから街に出かけて
食事でもしようと
言いました。

私は
それも良いけど
二人っきりでいたいので
「お祝いは後にして
こんばんは
家で夕食をとりましょう。」と
いいました。

ゆっくり食事をした後
お風呂に入って
寝る時間になりました。

剛は
「おやすみ」と言って
階下のベッドに潜り込みました。

私は
ロフトのベッドに上って
バリアもせずに
眠りに入りました。
ロフトの妖精 その25
神政庁では
星子が
問題の発言をした
直後から
騒ぎになっていました。

神政庁の
妖精情報収集課は
問題の発言の直後に
これを認知して
星子の直属の上司
と懲罰委員会
それと神様に報告していました。

直属の上司は
星子がそんな事を言ったのが
不思議でした。

まだ妖精としては
未熟なものですが
賢明な星子が
そんな単純と思えるような
ミスを何故したのか不思議で
上司は
懲罰委員会に
慎重に審査を願う
意見書を
直ぐに提出していました。

一方神様は
妖精情報収集課から
報告が来る前に
そのことを既に知っていました。

何万件の
事柄を一気に処理する能力を持つ神様でも
そこまで小さなことに
わからないのが普通なのに
わかったのには
理由があります。

何となく気になって
星子に神通力を
使っていたのです。

神様も
困惑してしまいました。

妖精が
愛情に関して
恥ずかしがるなど
ないと思っていたのです。

神政庁の中の事は
規則で決まっており
その規則を
神様が
違える事は
普通はできません。

星子の懲罰を
緩くする事は
神様でも
容易には
できないのです。

規則を変えるか
神様の持つ強権で
押し通すか
星子を助けるには
そのふたつしかありませんでした。

一方
懲罰委員会の面々も
前代未聞の
この出来事に
困惑していました。

懲罰委員会は
老練な
妖精出身者と
次代の神様を目指すエリート
それに
神政庁でながく事務を執ってきた者の内
特に優秀な者で構成されていました。

懲罰委員会は
何故
星子が
そんな事を言ったのか
どんな理由なのか
究明する事になりました。

妖精情報収集課に残されている
星子の
任務の始まりから
現在までの情報を
調べたり
神様の発言の筆記録についても
丹念に調べました。

その調査をした後
懲罰委員会の面々は
会議をすることになったのですが
出る意見は
「原因がわからない」というものでした。

懲罰委員会の面々は
愛情が
恥ずかしいと言う概念が
理解できなかったのです。

もっと言えば
人間の愛情がどんなものか
頭ではわかっているのですが
体験した事がないので
わからなかったのです。

一同は
神様に
この不可解な事件を
聞くべく
懲罰委員会始まって以来の
神様へ
召喚状を送ったのです。

ロフトの妖精 その26
懲罰委員会に
前代未聞の神様が召喚された日は
剛が
階段を完成させた日だったのですが
神様は
懲罰委員会の面々に
次のように
証言しました。

「星子の任務は
私が命じたものです。

最初の任務
『急な階段を落ちなくする方法を考え出す』任務は
人間を幸せにするために
課題を与えました。

それと同時に
私は
妖精が
もっと幸せになれないか
実験もしたのです。

どんな実験かというと
人間がこの上ない幸せと感じる
愛情というものを
妖精も持てないかというもです。

もし妖精も
愛情を持つ事ができれば
愛情を理解でき
より良く人間を幸せにすると
考えたからです。

もっと進んで
妖精自身も
幸せにならないかと思うのです。

幸せな妖精は
きっと人間にも
優しくできて
人間をより幸せにできるのではないかと
思います。

そんなわけで
第二の任務
『剛と一緒に暮らす』というものを命じたのです。

その過程で
このような事が起こるとは
私も予想できませんでした。

人間には
よくある
『恥じらい』が
妖精にもあるために
このような事が起こってしまったのです。

私の
無知からこのような事が起こって
誠に申し訳ない。

星子には
寛大な処置を
お願いしたい。

なるべく
剛と一緒に居れるような
懲罰を与えて欲しいと
思います。」

このように神様が
謝るのは
今までになかった事なので
懲罰委員会の面々は
驚きを隠せませんでした。

ロフトの妖精 その27
神様の意向を受け
星子の処分が決まったのは
星子が
ベッドに入ったときでした。

その命令は
直属の上司に伝えられました。

上司は
妖精でない星子には
会えないので
書面を
ベッドに届けました。

私の顔の上に
その手紙は
突然落ちてきました。

私は
その手紙を見ました。

『10年間妖精籍を剥奪する。
10年間は人間界で暮らす事。
10年後妖精に復帰させるので
その日のために
妖術を磨くために
一部の妖術の使用を許可する』というものでした。

他の妖精なら
この処置は
誠にもって
過酷な処置です。
10年もの間
人間界から出られないのですから
つらいものです。

しかし私にとっては
とっても
好ましいものでした。

私は
少なくとも
10年は
剛の横におれる事になったのです。

もう
うれしくて
うれしくて
すぐに
剛を起こして
伝えたかったのですが
恥ずかしいので止めました。

翌日
私は
早起きして
剛の寝顔を
じっくり見ていました。

「一緒に暮らせるのよね」
と独り言を
言ってしまいました。

ロフトの妖精 その28 クリスマス企画「妖精の結婚」
今までのあらすじ

妖精の私 星子は
神様の命令で
剛の家で
剛を助けて
「リフォームなしに急な階段を安全な階段を発明する」ために
暮らしていました。

偶然の事から
剛は
安全な階段 段違い階段を発明します。

発明ができると
私は帰らなければならなくなりました。

でも
神様が
「剛と一緒に暮らす」という任務を下さって
剛と一緒に暮らし始めた私でしたが
、、、
、、、、、、





それから
夏が来て
秋が来て
木枯らしが吹いて
街にクリスマスのイルミネーションが輝き始めました。

もう
私と
剛のふたりの暮らしは
表向きはともかく
内情は
夫婦のようでした。

隣の人のには
親子と言う事になっていますので
外では手をつないだりしませんでしたが
仲良く休みのたびに
出かけていました。

12月の初め頃
神戸のルミナリエにも
行きました。

たくさんの人で
少しずつ歩きながら
きれいな電飾を見ていました。

ルミナリエを見ていると
私は
剛とはぐれそうになり
はじめて
剛と手をつないでしまいました。

剛もびっくりしたように
冬なのに手に汗をかいていました。

剛は
「たくさんの人も良いよね」
と言って
笑いました。

私も
「そうよね」と言って
園田の駅まで
手をつないで帰りました。

しかし駅に着くと
誰が見ているかわからないので
いつものように
少し離れて
歩きました。

私と
剛は
相思相愛の中なのに
越えられない
ものがありました。

剛も感じているので
口には出しませんし
私も言い出せない事でした。

それは
結婚です。

剛が
私が妖精である事を知らないなら
きっと言い出しているに違いないと
思いました。

妖精と
人間の結婚は
許されない事なのでしょうか。

それを神様に聞きたいのですが
今は妖精でない
私には聞くすべがありません。

そこで人間がよくやる
お祈りをしてみました。

夜天窓を
ソーと開けて
星に願いを
することにしたのです。

流れ星の妖精の私が
流れ星に
お願いをするなんて
「ちょっと変よね」
と
少し苦笑いしながら
星空に
お願いしました。

数時間天窓を開けていたので
お部屋はすっかり冷たくなって
下の剛も
目が覚めました。

剛は
私に気づかれないように
私を見ていました。

妖精でない私でも
剛の気配は感じていましたが
そうお願いしたかったのです。

それから
1時間くらいたった頃でしょうか
長い流れ星が現れました。

いつも願いを聞いている私ですが
お願いする方に回っても
意外なほど
要領がよかったのです。

願が掛けられたので
私は眠りにつきました。

剛も
床についたみたいでした。

翌朝
剛は
眠そうに起きてきました。

剛:
昨日天窓を開けて
何を
星子さんは見ていたんですか

星子:
えー
ちょっとね

剛:
星子さんは
星の妖精だから
妖精が懐かしくなったの

星子:
そんな事はない
、、、
私ね
星に願いをしていたの

剛:
えっ
星子さんは願いを聞く方じゃないの

星子:
ちょっとね
願いをしてみたの

剛:
その願いって何
気になる

星子:
うー
内緒
人に言うと
願いが叶わなくなるかもしれないから

剛:
そうなの
じゃ聞かない

そんな話をしている間も
剛はあくびをしていました。

それから数日後
私のところに
手紙が来ました。

それは神様からの手紙で
次のように書いてありました。

「星子

星子が剛と結婚したがっている事は
わかっています。

星子は
妖精としては
優秀な逸材です。

そのような星子が
人間と結婚して
妖精でなくなるのは
私としては大変残念です。

今の規則では
妖精が
人間と結婚したら
妖精に戻れない事になっているからです。

この規則について
神政庁では
大きな議論がありました。

先例を廃して
規則を改めるべきか
旧例にならって
保守的に規則を堅持すべきか
議論がありましたが
それらの議論を総括して
私は
規則を改正する事にしました。

今度のクリスマスの日から
規則を改め
人間と結婚した妖精も
幸せに添い遂げた後は
妖精に戻る事ができるように
します。

星子
あなたが願うなら
そして
剛が
あなたにとって
最良の伴侶なら
結婚しても構いません。

でも
結婚したら
離れる事はできません。

剛が死ぬまで
どのような事があっても
離れてはいけません。

それが約束できるなら
星子
結婚しなさい。

もちろん星子は
約束できるでしょうね。

おめでとう

私からのプレゼントとして
周りの人にも
おまえたちが
夫婦である事を
認めるようにしておきましょう。

星子
幸せになるのですよ」
と書かれていました。

私は
「神様ありがとうございます」と
告げました。

神様の許可を得て
それから
周りの人にも認めてもらっても
なおも大きな
障害がありました。

それは
剛が私に
結婚を申し込んでこない事です。

私が
妖精だから
申し込んでこないのだろうと思いました。

申し込ませるような
いろんな手はありますが
そんな手を使っても
剛の事だから
効果はないと予想がつきます。

やっぱり
正面突破で
今の私を
告げなければならないと思いました。


剛が帰ってきて
私は
話を始めました。

星子:
剛さん
私はなしがあります。

剛:
えー
何か悪い話
それともいい話

星子:
たぶんそれはとってもいい話だと思います。

剛:
あー
よかった
妖精に戻る
と言われたら
どうしようかと思って

星子:
それなんだけどね
神様から
お手紙が来たの

剛:
えー
神様からお手紙
どんな手紙
妖精だからできるんだよね

星子:
先日
流れ星にお願いしていたでしょう
それの結果なの

剛:
流れ星に願いを掛けるとかなうんだ
どんな内容なの

星子:
それがね
、、、、
、、
えーとね
、、、

剛:
何か言いにくい事なの

星子:
そうね
私から話すのは
恥ずかしい
剛さんわかって欲しいの
剛さんの方から
言って欲しいの

剛:
えっ
、
はー
、、
うー

星子:
、、、、、、
、、、、


長い時間が流れます。


剛は
つばを飲み込み
覚悟したかのように

剛:
星子さん、、、
、、、、、、、、、、
私と
、、、、、
、、
、、、
、、、、、、、



またしばらくの間
時間がたちます。
剛は
全身紅潮して


剛:
星子さん
私と
結婚して下さい。


星子:
ありがとうございます。
うれしいです。

剛:
星子さん
私で良いんですか
妖精なのに
結婚しても
問題ないんですか

星子:
大丈夫です
剛さん優しいから
私大好きです。

神様も公認です。
それから
周りの人たちも
私たちを
認めてくれます。

剛:
うれしいです。
星子さんと結婚できるなんて
夢じゃないでしょうか
人生も
もう終わりの頃に
こんな良い事があるなんて
夢のようです。

もしかして
夢ではないでしょうね
明日起きたら
突然あなたがいない
昔の生活になっている事なんて
あり得ないですか。

大丈夫なんでしょうね。

星子:
疑い深い
剛さんね

大丈夫ったら

そんな話で
その日は過ぎて

それから数日たった
クリスマスの日

私と剛は
結婚しました。

ロフトの妖精
終わります。

続編があるかのしれませんが
一応終わりです。

読んで下さって
ありがとうございました。
Posted at 08:46 Comments(0) Permalink 日記

2010年12月24日(Fri)▲ページの先頭へ
ロフトの妖精 その28 クリスマス企画「妖精の結婚」

ロフトの妖精 その28 クリスマス企画「妖精の結婚」
今までのあらすじ

妖精の私 星子は
神様の命令で
剛の家で
剛を助けて
「リフォームなしに急な階段を安全な階段を発明する」ために
暮らしていました。

偶然の事から
剛は
安全な階段 段違い階段を発明します。

発明ができると
私は帰らなければならなくなりました。

でも
神様が
「剛と一緒に暮らす」という任務を下さって
剛と一緒に暮らし始めた私でしたが
、、、
、、、、、、





それから
夏が来て
秋が来て
木枯らしが吹いて
街にクリスマスのイルミネーションが輝き始めました。

もう
私と
剛のふたりの暮らしは
表向きはともかく
内情は
夫婦のようでした。

隣の人のには
親子と言う事になっていますので
外では手をつないだりしませんでしたが
仲良く休みのたびに
出かけていました。

12月の初め頃
神戸のルミナリエにも
行きました。

たくさんの人で
少しずつ歩きながら
きれいな電飾を見ていました。

ルミナリエを見ていると
私は
剛とはぐれそうになり
はじめて
剛と手をつないでしまいました。

剛もびっくりしたように
冬なのに手に汗をかいていました。

剛は
「たくさんの人も良いよね」
と言って
笑いました。

私も
「そうよね」と言って
園田の駅まで
手をつないで帰りました。

しかし駅に着くと
誰が見ているかわからないので
いつものように
少し離れて
歩きました。

私と
剛は
相思相愛の中なのに
越えられない
ものがありました。

剛も感じているので
口には出しませんし
私も言い出せない事でした。

それは
結婚です。

剛が
私が妖精である事を知らないなら
きっと言い出しているに違いないと
思いました。

妖精と
人間の結婚は
許されない事なのでしょうか。

それを神様に聞きたいのですが
今は妖精でない
私には聞くすべがありません。

そこで人間がよくやる
お祈りをしてみました。

夜天窓を
ソーと開けて
星に願いを
することにしたのです。

流れ星の妖精の私が
流れ星に
お願いをするなんて
「ちょっと変よね」
と
少し苦笑いしながら
星空に
お願いしました。

数時間天窓を開けていたので
お部屋はすっかり冷たくなって
下の剛も
目が覚めました。

剛は
私に気づかれないように
私を見ていました。

妖精でない私でも
剛の気配は感じていましたが
そうお願いしたかったのです。

それから
1時間くらいたった頃でしょうか
長い流れ星が現れました。

いつも願いを聞いている私ですが
お願いする方に回っても
意外なほど
要領がよかったのです。

願が掛けられたので
私は眠りにつきました。

剛も
床についたみたいでした。

翌朝
剛は
眠そうに起きてきました。

剛:
昨日天窓を開けて
何を
星子さんは見ていたんですか

星子:
えー
ちょっとね

剛:
星子さんは
星の妖精だから
妖精が懐かしくなったの

星子:
そんな事はない
、、、
私ね
星に願いをしていたの

剛:
えっ
星子さんは願いを聞く方じゃないの

星子:
ちょっとね
願いをしてみたの

剛:
その願いって何
気になる

星子:
うー
内緒
人に言うと
願いが叶わなくなるかもしれないから

剛:
そうなの
じゃ聞かない

そんな話をしている間も
剛はあくびをしていました。

それから数日後
私のところに
手紙が来ました。

それは神様からの手紙で
次のように書いてありました。

「星子

星子が剛と結婚したがっている事は
わかっています。

星子は
妖精としては
優秀な逸材です。

そのような星子が
人間と結婚して
妖精でなくなるのは
私としては大変残念です。

今の規則では
妖精が
人間と結婚したら
妖精に戻れない事になっているからです。

この規則について
神政庁では
大きな議論がありました。

先例を廃して
規則を改めるべきか
旧例にならって
保守的に規則を堅持すべきか
議論がありましたが
それらの議論を総括して
私は
規則を改正する事にしました。

今度のクリスマスの日から
規則を改め
人間と結婚した妖精も
幸せに添い遂げた後は
妖精に戻る事ができるように
します。

星子
あなたが願うなら
そして
剛が
あなたにとって
最良の伴侶なら
結婚しても構いません。

でも
結婚したら
離れる事はできません。

剛が死ぬまで
どのような事があっても
離れてはいけません。

それが約束できるなら
星子
結婚しなさい。

もちろん星子は
約束できるでしょうね。

おめでとう

私からのプレゼントとして
周りの人にも
おまえたちが
夫婦である事を
認めるようにしておきましょう。

星子
幸せになるのですよ」
と書かれていました。

私は
「神様ありがとうございます」と
告げました。

神様の許可を得て
それから
周りの人にも認めてもらっても
なおも大きな
障害がありました。

それは
剛が私に
結婚を申し込んでこない事です。

私が
妖精だから
申し込んでこないのだろうと思いました。

申し込ませるような
いろんな手はありますが
そんな手を使っても
剛の事だから
効果はないと予想がつきます。

やっぱり
正面突破で
今の私を
告げなければならないと思いました。


剛が帰ってきて
私は
話を始めました。

星子:
剛さん
私はなしがあります。

剛:
えー
何か悪い話
それともいい話

星子:
たぶんそれはとってもいい話だと思います。

剛:
あー
よかった
妖精に戻る
と言われたら
どうしようかと思って

星子:
それなんだけどね
神様から
お手紙が来たの

剛:
えー
神様からお手紙
どんな手紙
妖精だからできるんだよね

星子:
先日
流れ星にお願いしていたでしょう
それの結果なの

剛:
流れ星に願いを掛けるとかなうんだ
どんな内容なの

星子:
それがね
、、、、
、、
えーとね
、、、

剛:
何か言いにくい事なの

星子:
そうね
私から話すのは
恥ずかしい
剛さんわかって欲しいの
剛さんの方から
言って欲しいの

剛:
えっ
、
はー
、、
うー

星子:
、、、、、、
、、、、


長い時間が流れます。


剛は
つばを飲み込み
覚悟したかのように

剛:
星子さん、、、
、、、、、、、、、、
私と
、、、、、
、、
、、、
、、、、、、、



またしばらくの間
時間がたちます。
剛は
全身紅潮して


剛:
星子さん
私と
結婚して下さい。


星子:
ありがとうございます。
うれしいです。

剛:
星子さん
私で良いんですか
妖精なのに
結婚しても
問題ないんですか

星子:
大丈夫です
剛さん優しいから
私大好きです。

神様も公認です。
それから
周りの人たちも
私たちを
認めてくれます。

剛:
うれしいです。
星子さんと結婚できるなんて
夢じゃないでしょうか
人生も
もう終わりの頃に
こんな良い事があるなんて
夢のようです。

もしかして
夢ではないでしょうね
明日起きたら
突然あなたがいない
昔の生活になっている事なんて
あり得ないですか。

大丈夫なんでしょうね。

星子:
疑い深い
剛さんね

大丈夫ったら

そんな話で
その日は過ぎて

それから数日たった
クリスマスの日

私と剛は
結婚しました。

ロフトの妖精
終わります。

続編があるかのしれませんが
一応終わりです。

読んで下さって
ありがとうございました。