ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの71歳の老人の日記です

苺の思い出 その2

くさかんむりに母と書く苺
皆様はお好きですか。

苺の
ゴの音は、鼻濁音で
発音されるそうです。

そんな事はどうでも良いのですが
母は
苺の行商に出かけます。


苺は
すぐ傷んで
商品価値が下がっていきます。

そんな苺を
リヤカーに乗せて
初夏の炎天下
街を歩き回り
扉を叩いて
「苺どうですか」と
言って回ります。

ようやく出てきた
住人は
苺を見て
「あなたの苺は
とっても酸っぱいわ」と
批判するのですが
母はにこにこと笑顔を
蓄えながら
「今日のは大丈夫です」などと
人なつこく
応えながら
何かと話して
最後には買ってもらうように
します。

悪戦苦闘です。

ようやく
日差しが
南から
日に傾いたとき
家に帰ってきます。

母が作った
黒い袋の中に
小銭が
山ほど入っているときもあったそうです。

なにぶん小銭ですので
合計の金額はたいしたことはないですが
現金収入のない我が家では
とても貴重です。


苺で
私の子供の頃の生活は
成り立っていました。

現金で買う
靴や衣服ノートや鉛筆は
苺の
そして
母の代償です。


苺を食べるとき
胸がいっぱいになってしまいます。