登が離れていくと 冴子の 心の中に 勇治が入ってきました。父親の病状を 勇治に話すと 勇治も 見舞いに来たいと 言いましたが まだ登のことを 話していないので 困ってしまいました。
なんだかんだと 理由を付けて 来ないようにしたのですが だんだんと 勇治は 冴子に 何かあると 思い始めたようでした。
冴子は 真実を 勇治に 話さなければならない 時が来たように 思い始めました。
父親が 少し安定して 下の弟が 一日 付き添うというので 体が空いたその日 勇治の 休みと 重なりました。
冴子の家には 登や子供は 帰ってこないので 心配せずに 勇治の電話を 受けることができました。
そして その朝かかってきた電話で 「会って話したいことがある」と 約束して その昼 駅前の喫茶店で 会う約束をしました。
冴子は いつもの 少しケバイ服装ではなく シックな服装で 化粧もほとんどせず 薄く口紅をつけて 結婚指輪を 左手の薬指にはめて 喫茶店に向かいました。