みんなに気付かれずに 月日が過ぎました。 そんなある日 電話が 実家からかかってきました。 父親が 緊急入院したというのです。 勇治に会う日でしたが 取るものも取らず 近くの病院に行きました。 父親は 腹痛のため 近くのかかりつけ医に行くと 大きな病院に行くように言われて この病院に来たそうです。 CT撮影すると 明らかに 問題のある 映像で 家族と一緒に呼ばれて 膵臓ガンと 宣告されてしまいました。 相当進行しており 即座に入院が決まったそうです。 6人部屋に入院している 父親を 最初に見た冴子は 痛々しそうで 見られませんでした。 鎮痛剤を使っていても 相当痛そうで 苦悶の様相です。 遅れて 兄や弟も来て 久しぶりに 家族全員が 揃いましたが こんなことで 会うのは 全く心外です。 遅れて 父親の 会社の面々も やって来て 病室は イッパイになっても 父親の痛みが 去ることなどありませんでした。 とりあえず 家に帰って まず勇治に連絡して それから 登の母親に そのことを話しました。 母親は 「子供のことや登のことは 私に任せて あなたは 父親の看病をしなさい」と 言ってくれました。 その日から 登と子供は 母親の家で 生活することになりました。