1月17日の 早朝の慰霊祭に ふたりで行くことにしました。 ファミレスで ながく話していると もう 未明の4時近くになっていました。 いまから家に帰っても仕方がないので 始発で 神戸に向かうことにしました。 もう少しだけ ファミレスにねばって 神戸に向かいました。 外は寒く 凍り付くようでしたが 暖かいコートを 用意していたので 体は温かかったです。 川上さんは ポケットから カイロを渡してくれました。 電車に乗って 公園に着くと たくさんの人が 火の周りに集まっていました。 5時46分が来ると 黙祷をしました。 竹の中に入った ローソクの火が ゆらゆらたわめいていました。 それから 電車で 鷹取に移動しました。 パン屋があった付近は いまは道路だけが 立派になって 何も立っていません。 朝日が 東から上ってきました。 店のあったところに 冴子は 立ち止まりました。 川上さんも 冴子の後ろに立ちました。 冴子が黙って 立っていると 後ろの川上さんが 突然大きな声で 「冴子さんを 幸せにしますから 私を許して下さい」と 叫びました。 何もない 静まりかえった 鷹取に 響き渡るほどの 声です。 誰が聞いたかわかりませんが 冴子の 心にも 響き渡りました。