安全管理のおかげで 課長に成れて パートさんにも 喜んでもらえて 冴子は 「もてき」かしら と思ってしまいました。 キャベツ工場は 正社員は 60才で 定年ですが 社長が 65才まで 雇用を 約束してくれました。 その上 年金が支給される 65才まで働けると またまた喜んでしまいました。 そんな 「もてき」も 残念ながら 長続きしませんでした。 60才になる年 冴子は すこし お腹が痛いのです。 サークルで ランチバイキングに行って たらふく食べたせいかと 思いました。 しかし その傷みが ながく続くので サークルのみんなが 「病院に行ったら」と 言われて 行くことにしました。 お医者様は 目をしかめて 「検査してみましょう」と 言われました。 検査後 「結果が出るのは 2日後 家族の人と 一緒に来て下さい」と 告げられました。 冴子は 全身の血の気が 抜けるのが わかりました。 どんな風にして 猛の家に来たのか わかりませんが インターホンを 押していました。 中から 猛の 奥さんが出てきました。 思わず 泣いて 抱きつきました。 だれでも 良かったのかもしれません。 でも 誰もいなかったら 泣くことさえ出来ないのです。 しばらくして 猛さんも帰ってきて 事情を説明すると 病院に 付き添っていってあげると 言ってくれました。