才色兼備の美奈子さんと 何となくパッとしない ひ弱な登のカップルは 一緒に歩いていると みんなの目には 奇異に見えました。 登の方が 美奈子さんに付いて行く というデートを していました。 薫子は 陽一君が 留学に行ってしまって ひとりでした。 しかし 毎日 話をしていました。 国際電話ではなく 当時としては 珍しい 電子メールです。 会社では メールが 普通にあったのですが 個人で インターネットするのは 珍しかったのです。 陽一君と メールをするため パソコンを買ったのです。 お給料ひと月分より 高いパソコンを買って ファックスモデムで 繋ぎました。 当時のパソコンですので そう簡単に 使えるようにはなりません。 1週間かかって やっと繋いで 陽一君とメールのやりとりを 始めました。 薫子は メールは ちょっと苦手です。 お得意の 笑顔のアイコンタクトはメールでは 使えません。 電話なら 何とか なるのですが 文章は 苦手です。 でも せっせ せっせと 毎日送りました。 陽一君も バンバン送ってきてくれました。 そんなに使っていると 月末には 電話代が びっくりするくらいに なっていました。 それで ケーブルテレビの インターネットに かえて 少しだけ楽になりました。