姉は 日頃の 登の様子から 概ね誰かが好きなんだろう たぶん 家主さんの 関係者で スーパーマーケットの店員さんが 思い入れのひとで しかも 子持ちだと言うことまで わかっていました。 もう少し 探れば その人の名前まで わかる力はありましたが 調べませんでした。 母親にも 内緒でした。 もう少し時が来れば 何とかしようと 姉自身は 思っていました。 そんな様子を 隠して 正月の行事は 終わりました。 正月明けには 同じように 病院に 挨拶回りしました。 もちろん 美奈子さんの 病院にも 行って 挨拶しました。 結婚のことを 知っていましたから お祝いを 持って行きました。 社用と 個人的なものを 持って行きましたが 美奈子さんは 受け取りませんでした。 業者から 金品の類を 受けとらないとういのが 美奈子さんの 考えからです。 そんな人だと はじめから 思っていましたが 登は 自分の 推測が当たったことを 楽しんでしました。 家では 寒い冬には 鍋だと言うことで スーパーマーケットで 鍋の材料ばかり レジに持って行くと いつも様に 薫子が 「今日も鍋なんですね」と 尋ねました。 登は 「母親と ふたりだけの鍋では あまり盛り上がりません。 あなたも どうですか」と いつものように 誘いました。 薫子は これまたいつものように 「ひとり鍋も 良いんじゃないですか」と 答を はぐらしてしまいました。