ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの68歳の老人の日記です

長編小説「昭和」その23

田植えは
一日中
中腰になって
足場の悪い田んぼを
後ずさりしながら
進んでいく
仕事です。

関東では
進みながら
田植えをするのですが
関西では
後ずさりしながら
足跡を
手で平にして
消しながら
植えていきます。

同じ日本でも
田植えの仕方が
大きく違うことを
清左衛門は
知るよしもなく
死ぬまで
知りませんでした。

旅行など
絶対に行けなかったので
知らなかったのです。

清左衛門の家では
働き手が
多いので
家人だけで田植えをすることができました。

5日かかりました。

家人が少ない家では
田植えを終えた村から
雇い入れるのです。

田植えをする人を
「さなえ」と言います。

早苗さんには
お金を払うか
労働で返すか
いずれにせよ
対価を払わなければなりません。

家人が多いことは
農業にとって
好都合ですので
子沢山は
農家の安定経営のためには
必須条件です。

田植えが済むと
仕事は
その年によって
大きく違います。

水の管理
稲の害虫や病気など
その年によって違うからです。