ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの68歳の老人の日記です

長編小説「昭和」その41

叔父さんの
大工としての技術は
相当なものです。

少しずつ
道具も蓄え
いつか
大工として
独り立ちする日を
夢見ていたのです。

しかし
大工仕事が
ズーッと
続くかどうか
心配でした。

叔父さんは
踏み切れないまま
へやずみとして
清左衛門の家に住んでいました。

今津は小さな村です。

歩いて行けるような
西宮宿は
少し大きな町です。

旅籠や
商家・職人の家などもありますが
大工仕事を
行う人が
町の中に住んでいて
仕事を
引き受けていました。

叔父さんに
仕事が回ってくるとは
思えなかったのです。

叔父さんは
何かにつけて
町に行って
仕事がないか
捜していました。

町に行く用事は
屎尿の回収と
野菜の販売です。

屎尿は
農業にとって
大事な
肥料です。

この時代は
野菜などと
交換で
町家から
屎尿を
もらって
田んぼの
「どつぼ」に
蓄えていたのです。

大八車に
桶
を積んで
運ぶ
あまりしたくない仕事です。

桶は
『たんご』と呼ばれていました。