ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの71歳の老人の日記です

ブログ小説「スポンジケーキを作りたい」その3

正子の通っている
大学には
制服があって
黒のタイトスカートに
白のワイシャツ
黒のスーツです。

黒のタイトスカート以外は
入学式と卒業式以外は
着用義務はありません。

学内に入るためには
タイトスカートをはく必要があったのです。

正子は
タイトスカートが
いやでした。

背が高く余計に見えると
正子は思っていました。

大学は
面白かったのですが
タイトスカートは
いやでした。

でも何もできないので
タイトスカートをはいて
毎日
大学に通っていたのです。

友達もそれ程いるわけでもなく
クラブに入っているでもなく
遊びに行くでもなく
旅行のようなものは嫌いだし
家族でどこかに行くわけでもなく
恋人がいるわけでもないので
本当に仕方なく
勉強の毎日でした。

そのせいもあって
小学生の時は
劣等生であった正子も
学年で
一番になる
成績を
上げていました。

4年生になって
ゼミに入ると
何やら難しい
卒論のテーマを
教授に与えられ
それも仕方なく
こなしていました。

それと同時に
就職活動が始まりました。

正子が
就職活動をはじめた頃は
バブルがはじけて
超氷河期のときだったのです。

学生の面々は
何十回も
会社訪問をして汗を流しました。

正子も
もちろん
就職活動をしていたのですが
これといった
なりたいもの
やりたいものもありませんので
それ程熱が入りませんでした。

正子の
両親は
「好きな仕事を
選ぶことなど
できるはずがない。

仕事があなたを選ぶのよ」と
言ったのです。

そのアドバイスに
正子は
乗りました。

「私を必要とする
ところに勤めよう」と
決心したのです。

卒業間近の
3月に
ゼミの教授が
推薦してくれた
会社に
就職が決まって
正子はホッとしました。