今日はクリスマスイブ 今真実が明らかになります。 その12は最後の方です。 期待せずにお読み下されば 嬉しいですけど すこしむりかな。 やっぱり無理かな たぶん無理だわ。
ブログ小説「順子」 1
もうすぐ クリスマスですよね。 クリスマスが終わったら お正月ですよね。 おめでたい時期ですので ファンタスティック な 物語にしようと思います。 本当は 長編小説「昭和」の続けるのですが と考えて ファンタスティックな方が 良いと思いまして ファンタスティックとは ファンタジックという 和製英語になっているそうです。 日本語では (1)幻想的・空想的なさま。また、風変わりなさま。 「ファンタジックな童話」 (2)すばらしいさま。 「ファンタジックな気分」 と言う意味らしいです。 あなたもそんな意味で 使っていましたでしょうか。 私の 力が 全くありませんので そんな幻想的な 物語は 絶対に無理かも知れませんね。 それでは はじめますが 期待せずに 読んでいただけたらと 思います。 ここから本文です。 __________________ 順子は 昭和41年に生まれました。 母親は 元気な 女性でしたが どういう訳か 早く生まれてきてしまいました。 早産でした。 早く生まれて 当時としては 珍しい 保育器の中で 育ちました。 数ヶ月後 退院して 母親にはじめて 抱かれましたが その後も 熱を出して 入退院を繰り返していました。 母親は 初めての子供でしたので 病気がちな 子供に 不安で一杯でした。 そのうえ 両方の実家から 遠く離れた 九州に 転勤していて お友達も いないところで 一層の不安でした。 頑張って 育てようと思えば思うほど 空回りを 感じていました。 何度目かの入院の時 母親は いつものように 夜も付き添っていました。 順子が 安心したように 寝ていたので 母親は 家に一時帰ることになりました。 その日は 満月で 月明かりが明るい 夜でした。 遠くを見ながら 歩いていると 地平線に 一筋の 星が 流れました。 母親は 思わず 「順子を元気にして下さい」と 願いを かけてしまいました。
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親として 当然の 普通の願いです。 願いをしたからといって 叶うなど 全く思っていませんでした。 振り返って 病院を見ると うっすらと明るくなっているように 見えました。 車のライトでも 当たっているのかと 母親は 思いながら 早々と 用事を片付けるために 家に急ぎました。 手際よく 片付けて 病院に戻ってくると 順子は まだ 寝ていました。 頭を撫でると 熱が下がっているのか 熱くありません。 母親は 順子の顔を見て 仮眠に付きました。 何時間が過ぎて 順子が 起きたので 母乳を与えました。 いつもと違って 母乳を よく飲みました。 朝になって 看護婦さんが 検温にやって来ました。 昨晩までの熱が ウソのように 引いて 平熱になっていました。 その日は 母乳をよく飲み 血便も なかったのです。 医師が 「軌跡の回復」と 告げて 3日後に 退院しました。 退院後 熱は でなくなりました。 それから 転勤が決まって 順子は お祖母さんのお家の 近くに 引っ越して来ました。 今まで 3人家族で 暮らしていた 順子は 一気に 家族が増えました。 順子は 目がくりくりとして とても可愛くて 家族の そして 近所の 人気者に なっていました。 大きくっても 背は高くはならず 一番小さい 幼稚園児になりました。 近所の 男の子たちと 一緒に 幼稚園に通っていました。 そんなある日 幼稚園から帰ってくるのが 遅いと 母親が 思っていたときに 警察から 電話がかかってきたのです。 「順子ちゃんが バイクにはねられて 病院に入院した」との 知らせです。 母親は 自転車に乗って 病院に向かいました。
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相当重体だと 連絡がありました。 もう無我夢中で 母親は 自転車を こいでいました。 年末の 冬至十日前で日の暮れるのが 一番早い時期だったので 一番星が 輝いていました。 そんな時 一筋の流れ星が 病院の方向に 飛んでいきました。 母親 とっさに 「順子が助かりますように」と 願いをかけました。 あとになって わかるのですが 順子が 赤ちゃんのときに 願いをかけたときと 同じだわかるのですが そんなことは この時には わかりません。 病院に着くと 急いで ICUに向かいました。 ガラス越しに 順子は 体にいっぱい線を繋がれていました。 枕元には いろんな機器が 付いていました。 看護婦さんが 走り回っていました。 看護婦さんを母親は捕まえて 話を聞こうとしました。 「お医者様から 説明します」と 返事して 足早に去ってしまいました。 ガラス越しに見ながら 心配そうに見て 待っていると 父親もやって来ました。 ふたりは 泣きそうに成りながら 待っていました。 ガラスの向こうでは 慌ただしく 医師や看護婦が 順子の周りにやってきました。 その陰になって ガラス越しからは 順子の様態は 見えなくなりました。 数分経って 医師や看護婦は 穏やかな表情になって そこから離れていきました。 医師が やって来て 笑顔で 「順子ちゃんは 凄いですね。 奇跡です。 あんな状態だったのに 意識も戻って もう心配はありません」と 告げたのです。 ふたりは 抱き合って 喜びました。 おじいさんや おばあさんも やって来て 事情を話すと みんなで 「よかった よかった」と 話しました。 あとで 詳しく 看護師さんから 聞いた話によると 「順子は 病院に 運ばれてきたときには 瀕死の重体で 一時 心臓が 止まったそうですが 奇跡的に 助かることになります。 医師や看護師も 順子の そんな回復力を 驚いたそうです。 奇跡以外何ものでもない」らしいのです。
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家族は 清浄服をきて ICUに入りました。 順子が こちらお見ていて 「お父さん お母さん おじいさん おばあさん 心配をかけてすみません。 わたしは大丈夫だから 安心して 家に帰ってください」と いうのです。 幼稚園児の 順子が 大人のようなことを 言うので 一同驚きました。 手や足の 包帯に 血がにじんでいるところがあって 痛々しく見えるのになぜか 笑顔で 話すのです。 今までの 順子なら 転んだだけで 「痛ーい」と いって泣き叫ぶのに そんなことなしに 冷静に 話すのです。 みんなは 無理をしているのだろうと ねぎらって その日は 病院に任せて 帰りました。 翌朝 母親が 病院にいくと 一般病棟に すでに移っていました。 「もう痛くない」と いうのです。 麻酔が切れて きっと痛いはずだと 看護婦さんは いっていましたが 笑顔で そういうので 誰もが 安心しました。 事故を起こした 運転手が やってきて 平身低頭 平謝りで 謝っていました。 順子は その 白髪の運転手に 「わたしは大丈夫です。 わたしも落ち度はありますので そんなに 気にしなくても いいです。」と いったので 運転手は 恐縮して 帰りました。 それから 一週間で 退院して 幼稚園に また通い始めました。 まだ 抜糸できていないのに 少し足を引きずりながら 幼稚園に行きました。 母親は 事故にあってから 順子は 変わったと 思っていました。 今までなら どこの幼稚園児でも同じように 弟と おもちゃの取り合いや 駄々をこねることも あったのに 今は 弟の 面度もよく見て けんかなどすることは ありません。 事故で 頭の中が 少し変わったのかと 家族は 話していました、 翌春 順子は 小学校に 通い始めます。 順子の学年は 少し人数が 少ないくて 2クラスしかありません。 順子は クラスメートとも 仲良くしていました。 背はほとんど大きくなっておらず 学校で 一番の チビでしたが その利発さは 大人なら 分かるものでした。 入学するときに もらった教科書は その日のうちに 読みました。 順子は ひらがなが 読めて 漢字も 少し読めました。 計算も できました。 家族のものが 教えなくても 知っていたので 誰に教えてもらったのか 母親は 少々不思議に思っていました。 授業が始まると 順子は もちろん すべてが分かってはいましたが 真剣に 先生の話を聞いていました。 「分かる人 手を挙げて」の言葉で いつも 順子は 手を挙げていました。 しかし みんなが 分からないときに ひとりだけ 手を挙げていると 「それは どうなのか」と 順子は 思いました。 偉そうといえなくもないし せっかく先生が 説明しようとしているのに 出鼻を くじくようにも見えるし 10日ほどたった日からは みんなが 分からないときは 手を挙げないように していました。 そんな順子を 先生だけではなく クラスメートも 見破っていたのです。
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大人びた 順子は みんなの 羨望の的になるのではなく 失笑の対象や いじめの対象となります。 子供がよくやるいたずらで ドアの上に 黒板消しを 挟んで ドアを開けると 落ちてくるというものも 順子にされたことがあります。 何も知らない 順子が ドアを開けると 落ちてくるのですが 順子は それを予測しているかのように ひらりと身をかわし 手で受け止めました。 そして何もなかったように 黒板に 戻して 席に座るのです。 その俊敏さは 誰にもまねできません。 順子は 賢いだけではなく 運動神経も 相当なものだったのです。 しかし 順子は 控えめでした。 運動会のかけっこでは 二位になるように 走っていましたし ドッジボールでも 適当なところで ボールにあたっていました。 スポーツで 目立っても 仕方がないと 思っていたのです。 それにはわけがあります。 順子は おばあさんと 一緒に テレビを見ることを 日課にしていたのです。 おばあさんが 野球やサッカーの試合の ニュースを聞きながら 「選手は たくさんのお金をもらって 試合をしているけど みんなの 好奇心は 満足できているが これといった 役にはたっていない」 話していたのを聞いて そうだと思っていたのです。 スポーツは 社会の役に 大きく役立つことでは ないと 順子は思っていて そんなところで 目立っても 仕方がないと考えていました。 それどころか そんなところで目立っていては みんなの もっと役に立つことが できないとまで 思っていたので 運動の分野では 目立たぬように 行動していました。 先生や クラスメートも それにはすっかりだまされていて 少しは 安心していました。 順子の日課は 小学生が そうであるように いつも同じです。 しかし 普通の小学生とは 「はなはだ」変わっていた というか 「模範」ともいうべきかもしれません。 朝早くおきて お布団をあげて 弟を 起こして 朝食の用意を手伝って 父親に 新聞を取りにいって 食べたものを片付けて 学校へ行きます。 学校から帰ってくると 手を洗って 宿題をして 弟と おじいさんとおばあさんの部屋で テレビを見たり おやつを食べたり 話をしたり 肩たたきをしたりして すごします。 母親が 帰ってくると 夕食の用意を手伝って お風呂を入れたり 夕刊をとってきたり いろんなお手伝いをします。 父親が 帰ってくると みんなそろって 楽しく食事をして 順子は 聞き役に 回ります。 学校では 図書室の 大方の本を 速読して その内容を ノートに簡単に書いていました。 小学校の図書室に よく置いてあるような 伝記ものに 大きく感動していて エジソンや ナイチンゲール ヘレンケラー などに心を動かされて 将来は 看護婦さんに なりたいと 思うようになりました。
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大人の目には 子供は すぐに大きくなるものです。 でも 子供にとっては 時間が過ぎるのが ゆっくりです。 順子は 早く大人になって 父母を 助けたい 社会のために 働きたいと 思っていました。 子供は 仕事もできないし たいした 役に立つことも できない そのうえ クラスメートの いわれのない いじめもあって 早く大人になりたいと 思っていたのです。 時間は ゆっくり 順子に流れます。 そんな時 おじいさんに たずねました。 「おじいさんは 子供の時は 早く時間が過ぎて欲しいと 思いませんでしたか。 子供の時は 何も役にも立てず みんなの世話になっているだけのように 思うのですが どうなんでしょうか。」と 言いました。 おじいさんは 日頃から 順子を見ていて そんな風に思っていると 考えていましたので 答を 用意していました。 「順子は 他の子供とは違って ものすごく賢いから 学校の勉強なんかは 1年も経たないうちに 会得するに違いないでしょう。 しかし 親が子供に願っていることは 子供が役に立つとか いう以前に 家族全員が 子供の 成長を 楽しんでいるのです。 おじいさんも そうですが 一日一日 順子が 大きくなっていくことが 楽しいのです。 パッパッと 大きくなってしまったら 楽しみがなくなってしまうでしょう。 それに 順子も 子供の時は たった十数年しかない 順子は もう十歳だから あと 数年で 大人になってしまいます。 子供の時は 二度と来ません。 もっと楽しんで それから 家族のみんなを 喜ばせて すごしたらどうかな。 賢い 順子なら わかるでしょう」と 答えたのです。 順子は そうかもしれないと 思いました。
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小学生を 楽しむことが 家族に 役立つのだと 聡明な順子は そういう考えに至りました。 家族でいる時間を 大きく取ることにしました。 図書室の 本もほとんど すべて読み尽くしたし 習い事といっても 塾に行く必要もないし スイミングスクールなど行かなくても 学校で一番の早さで泳げることも出来るし そろばんなどやらなくても 見るだけで暗算もできます。 宿題も いつも一気に仕上げて 時間もかからないなかったのです。 順子は これまで以上に 早く起きて 母親や 父親の手伝いをしながら 話していました。 近所の人達とは 笑顔で 朝の挨拶を 欠かしませんでした。 学校でも 先生や クラスメートと 話をするようにしていました。 帰って来たら 弟や おじいさんやお祖母さんと これまで以上に 話すようにしました。 順子の変わり方に 違和感を覚えたのは 学校の先生と クラスメートです。 クラスメートは 今までは 順子を 無視していたのですが この 笑顔攻勢に 従わざる得なくなって 結果として 仲良くなりました。 そうなると 意外と 小学生も 悪くないと 順子は 思いました。 順子は 五感が 普通の子供より 優れていました。 でもそのことに 順子は 気が付いていませんでした。
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みんなも そのように 感じていると 思っていたのですが 順子だけが そうだと気付くときが来ました。 順子の家の 近所のおばあさんがに ある臭いが したのです。 朝になると 外でかどはきを いつもしていて その横を 挨拶して登校していくのですが あるときから その臭いがしたのです。 だんだんその臭いは 強くなっていきました。 それと同時に 何か痩せていくような 元気がないように なっていました。 ある日から 外にいなくなりました。 それから 1ヶ月あまり 家で テレビを見ていると おばあさんが 「近所のおばあさんが 癌で 入院したそうで 相当悪かったそうだ」と 話をしてくれました。 順子は 「あの臭いは 何だったんだろう」と 思いました。 それから また 約1ヶ月たってから おばあさんが 退院してきました。 まだ 本調子ではないようですが 朝の挨拶を おばあさんと しました。 あの気になっていた 臭いが なかったのです。 順子は あの臭いは 病気の 臭いだったんだと 思いました。 家の おばあさんに そのことを 話したけど そんな臭いは わからないと いわれました。 学校までの 道筋の 朝の食事の 献立が 臭いでわかるといっても 家族のみんなは 不審な顔をしていました。 そのときに そんな臭いが わかるのは 自分だけだと はじめて わかったのです。
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犬のような 微妙な臭いが わかるのが 自分だけだと気が付いた順子は 見え方も 私だけではないかと 思い始めました。 幼かった小さい時から ジッと 見ていると 透けて見えるのです。 夏なんか 薄着になる季節なんかは じっと見なくても 体が見えてしまうのです。 あまり見ないようにしていました。 視力検査に至っては 一番下の小さい字が はっきり見えるし 遠くの人の 表情も 見えていました。 きっと こんなに見えるのは 自分だけだと 順子は 思いました。 そんなある日 学校から帰って 宿題を すまして 弟と お祖母さんの部屋に行くと 例の 臭いが 部屋にしました。 クンクンと 順子は 臭いの方向を 捜すと お祖母さんの方から 匂うのです。 病気のサインと 順子は 思いました。 お祖母さんに 体のことを 聞きましたが 特に 自覚症状は ないと言います。 順子は お祖母さんを ジッと 全身を 見ました。 体の中が 順番に見えてきました。 学校の図鑑で 体のことを 勉強していたので よくわかりました。 じっと見ていると お腹のあたりに 何か 塊のようなものが 見えました。 お祖母さんに近づいて お腹のあたりを しげしげと 見ました。 お祖母さんは 不思議そうに 順子を見ていました。 順子は 手で お祖母さんの お腹を 少し押しました。 上から見ていて 異物のあるところです。 それ程押さなかったのですが お祖母さんは 相当痛そうに 悲鳴を上げました。 順子は 「ごめん ごめん」といって 誤りました。 お祖母さんに 臭いがあることを 言って 早く 病院に 行く様に 勧めたのです。 その気迫で お祖母さんは 翌日 病院に行くことになりました。
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医師さえ 病気じゃないと 見ていましたが あまりにも お祖母さんが そう言うので 検査をすることにしました。 胃カメラです。 お祖母さんは 少しためらいましたが 順子が あんなに言ったので 検査を受けたのです。 胃カメラは 医師が 映像を見ながら 検査をしていくので 悪いのが その場ですぐわかります。 一番 癌が出来やすい 胃前庭部を 胃カメラで見ると 何か怪しいものが見えたのです。 医師は くまなく見て 確信しました。 その日の内に お祖母さんに伝えられ 3日後に 入院と言うことになりました。 医師は 「初期の癌で すぐに治る」と 告げられていました。 順子の 言ったことは 正しかったのです。 お祖母さんは 順子が 癌の臭いが わかることを はっきりとわかりました。 でも 誰にも言いませんでした。 3日後 入院したお祖母さんのところに 母親と一緒に 見舞いに行きました。 順子は 病院の中を 不思議そうに 見回っていました。 例の臭いがする人もいれば もっと他の臭いがするものも 居ました。 病院には いろんな人が 働いていました。 よく知っている 看護婦さんや お医者さんです。 順子は 幼稚園の時に 事故で 入院して以来 病気をしていないので 来たことがありませんでした。 看護婦さんは テキパキと仕事を 片付けていきますが 医師が その指示をしているようです。 順子の目には 医師が 「一番偉いんだ」と思いました。 その日から 順子は 医師になりたいと思いました。 お祖母さんに聞くと 「順子なら 充分に大丈夫 絶対に よい医師になれるよ」と 答えてくれました。 順子は 毎日 病院に行きました。 手術をした後は 臭いがなくなりました。 「すごい」と 順子は 思いました。 お祖母さんは 無事に退院して 元の生活に戻りました。 春になると 順子は 中学生になりました。 小さな中学生でした。 しかし利発な 順子は クラスでも 人気者でした。 中学生になっても 順子は 家族とクラスメートを 大切にしていました。 そして 順子の 能力も もっともっと ついてきました。 臭覚や視覚だけでなく 聴覚もはるかに人間を 越えていました。
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聴覚は 聞こえないほどの声や 遠くの音で聞こえないと考えられるような音を 順子は聞こえました。 実際の音ではなく 相手が 心に思っていることも 聞こえてくるのです。 初めて 聞こえはじめた時は 順子は びっくりというか 困惑というか 大変なことでした。 友達と思っていたのに そうではないと わかってしまったときの 落胆は大きいものでした。 しかし その声は 聞こえないことにしました。 聞こえないふりをして その場は 切り抜けました。 順子は そんな風に思われているのは 自分のせいだと 思うことにしました。 陰日向なく 接していたら きっと 本当の友達に 成れると 思っていたのです。 そこまでの声は聞こえなくても 「小さい」という声は 道を歩いていると よく聞こえました。 順子は 中学生になっても 小学4年生くらいしかの 背丈で おまけに童顔だったのです。 目がくりくりとしていて 可愛い順子が セーラー服の 制服を着ていると 中学生なのに 小さいと 誰もが思うのは 当然です。 「ちいさい」と 言った 人に 笑顔で 会釈をすることにしていました。 朝で 近所の人なら 順子の方から 「おはようございます」と 言うようにしていました。 そんなことをしていると 「ちいさい」と言う言葉から 「かわいいね」に それから 「よくできた子ね」に 変わっていきました。 こんな風にして 順子は 背はともかく 心は 成長していきました。
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今日は 2015年12月24日 クリスマスイブですね。 順子の事実が明らかになります。 __________________ 順子は 小さくても 大きな能力を持った 中学三年生になりました。 その頃になると 順子は その能力を 制御する力も 同時に持っていました。 心の声を聞くかどうか 透視力を使うかどうか ずば抜けた嗅覚を使うかどうかを 任意に使うことが出来ました。 順子は 友人には その力を 特に使わないように 気を付けていました。 3年生になって 順子は 押されて 生徒会長になりました。 3年生からは 順子さんと呼ばれ 下級生からは 生徒会長と呼ばれるようになったのです。 早朝時 登校してくる 中学生を 生徒指導の先生と一緒に 順子は 校門で 朝の挨拶をしていました。 いろんな子の心の声を聞いて いじめが あるように思いました。 順子は 心が淋しくなりました。 いじめの現場を 順子は その超能力で 調べて その現場で 注意するようにしました。 表面上は いじめは少なくなりましたが 順子は まだまだだと思いました。 そんなある日 順子は 呼び出されました。 順子は そんな風には思っていませんでしたが いわゆる不良グループです。 順子に邪魔されて 逆恨みしている グループだったんです。 グループのトップは 「うぜーんだよ 生徒会長だからといって 俺たちに 文句を言う 資格なんかないんだ お前なんか ちびなんだから 小学校へでも戻れ」と ののしりました。 順子は 少し怖かったけど 心の声では 不良グループの多くは 何かおびえているようでした 「人に優しくすることは 楽しいことです。 いじめなんかして あなたの心に 傷を付けて 楽しいことではないでしょう みんなと 優しく話せば 良い考えも出るし 幸せにもなるのよ」と ゆっくりと話しました。 そんな話をしているとき S男が 突然現れて 「何をしているの 女ひとりに みんなで 囲んで 何をするんだ」と 叫びました。 S男は クラスメートで 背は高いが ひ弱で イケメンでもなく マッチョでもない どちらかと言えば いじめられているグループの 一員でした。 顔を真っ赤にして 格好良く登場したのですが 不良グループの 一番の格下の不良に 腹を一撃され うずくまってしまいました。 順子は 「何をするの」と 言ったのを 始まりに 不良グループは 次々に 順子に襲いかかってきました。 順子は それを 右にそらし 左にそらし 屈んだり 飛び跳ねたりして 除けました。 不良グループの 拳は 一度も当たりませんでした。 相当長い間 それが 続いて 不良グループは 疲れてしまいました。 へたってしまいました。 順子は 「運動は それくらいにして 私の話を 聞いて下さい。 暴力は 相手も痛いかも知れませんが 自分にも 痛い 特に 心が いたいと思いませんか。 人に優しくした方が きっと あなたの心も 暖かくなります。 明日から 一度 試して下さい。」 と ひとりひとり不良グループの目を見て 話しました。 そのときに 順子は 「優しくなりましょう」と 念じていました。 不良グループは 何かわかったように 立ち上がって 軽く会釈して 離れていきました。 その様子を 見ていた S男は 驚いていました。 順子は駆け寄って S男を 見ました。 お腹当たりに アザが出来ていましたが 内臓には 問題ないみたいです。 順子は 「S男さんありがとうございます。 痛かったでしょう。 勇気ありますね。 本当にありがとうございます。」と お礼を言いました。 順子は S男に手を貸して 保健室に 行きました。 そんなところに 順子の 友達の M子さんが 現れて 今までの話をしました。 S男は 恐縮しながら 順子と M子と話しました。 そんな事があってから 3人は 一緒に 下校することが 多くなりました。 すっかり 3人は 友達になっていました。 友達の多い 順子ですが 男の子の 友達は それ程多くありませんでした。 その上 毎日 一緒に学校を帰る男友達など 今までには ありませんでした。 普通の女の子と同様 順子も ほのかな 恋心を 抱くようになりました。 何ごとも 積極的な 順子ですが こんな事には ためらいます。 夏も終わり 秋も過ぎ 2学期の終わりになる 大掃除の日に S男は 順子に話があると 言いました。 順子は びっくりしました。 階段の踊り場で その話を聞きました。 S男は 「こんなことは 順子さんに たのむことかどうか 迷ったんだけど 頼めるのは 順子さんだけなので 、、、、、」と まずはなしました。 順子は 耳たぶが 熱くなるように 感じました。 「ぼく M子さんが好きなんだ。 一度 M子に どう思っているか 聞いて下さい」と 顔を真っ赤にして 話しました。 順子は 好きな人に そんなことを 頼まれて どう返事をして良いか わかりませんでした。 それで 軽く会釈して 別れました。 その日は 授業が終わると ひとりで 帰りました。 帰っても 何も 手に付かなかったけど そこらここらの 掃除をして お手伝いを 黙々とこなしました。 クリスマスイブの ケーキも あまり食べませんでした。 後片付けをして お風呂に入りました。 お風呂で 涙が出てきました。 早く寝てしまいました。 寝床で 「神さま 私はどうすればいいのでしょう」と 心を念じていました。 すぐに寝入りに入りました。 順子が 目覚め 目を開けると 光の世界が 出現していました。 光があふれていて それでいて まぶしくないのです。 順子は 夢の世界かと思いました。 少しの時間が過ぎると 順子の前に 光が集まってきて だんだんと 形が出来上がってきました。 どんな形かと 表現が出来ませんが 神々しい 形でした。 そして 声がしたのです。 ”順子 私は神です。 あなたを 生まれるときから 見ていました。 順子の 母親のお願いを聞いて 赤ちゃんの時に 天使の体を与えました。 幼稚園の 交通事故の時に 天使の心を与えました。 順子は 心も体も 天使になっています。 人間界で 修行した 初めての 天使です。 順子は 人間の形をしていますが 私の分身の天使です。 天使だからと言って 人間のように 恋をしてはいけないとは言わないけど あなたは 人間に 幸せをもたらす 天使であることを 第一に考えて下さい。 そのための 能力を 私は あなたに 充分に与えています。 わかりましたね 順子” と声が聞こえて 自分を見ると 白いワンピースで 右手には星の付いた小さな棒を 左手に小さなハープを持っていました。 「神さま 私は どうすればいいのですか」 と 順子が言うと ”あなたは あなたが思ったように 行動すれば あなたの行いは すべて 神の意思によるものとなります。 迷ったときは あなたが心の中で 思ったように すればいい。” と返事がありました。 その後 光の塊は パーと消えて 光の世界は だんだんと 暗くなってきて 真っ暗になって 順子は 寝入りに入ってしまいました。 母親の 「順子 大丈夫 昨日早く寝たけど 体大丈夫」という声で 目が覚めました。 順子は 何かすがすがしい 一日の始まりでした。
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