30年前に あなたは 戻りたいですか。 私は 遠慮しておきます。 辛苦の 30年間を またやるのは 少し おっくうです。 あらすじ 順子(よりこ)は 57歳のおばさんで 子育ても終わって 今はひとり暮らしです。 神さまのちょっとしたミスで 30年間の記憶を保ったまま 30年前に戻ってしまいました。 30年前は 工員として 大きな工場で働いていました。 戻ってみると 目の前で 30年前に死んだはずの 友達の冴子が 横で元気に働いているではありませんか。 順子は びっくりして 驚きました。 状況が 何となくわかってきた順子は 仕事を終わって 順子と 待ち合わせをします。
仕事が終わると 冴子と一緒に 更衣室に行って 服を着替えました。 何と言うことでしょう。 30年前に着ていたであろう 服が 真新しく ロッカーに吊ってありました。 懐かしい水玉模様の ワンピースです。 その服は 気に入っていましたが 結婚するときに 古くなったので 捨ててしまっていました。 冴子も 今日の十詩子は変だと 思っていたので 早く着替えて 一緒に退社しました。 冴子と一緒に 順子は 会社近くの 喫茶店に入りました。 他の所まで行く時間さえ 惜しいとふたりは考えたのです。 冴子: 大丈夫なの 今日順子 順子: 私今日は何だか変なの 今日は何日なの 冴子: 今日は23日よ 順子: そうじゃなくて 何年なの 冴子: 1979年5月23日よ 何でそんなこと聞くのよ 順子: んー そうなのか 順子は 本当のことを言っても 冴子は信じてくれないし、 どうしていいかわからなくなりました。 冴子: どうしたの? 順子: んー 今日何だか変なの 突然頭が ボーとして 変なの ぼけたのかな 冴子: 何言っているのよ まだ27歳でしょう ぼける歳でもないでしょう。 おばあさんじゃあるまいし 順子: そうよね ところで 冴子 冴子は大丈夫? 冴子: もちろん私は元気よ 順子は 冴子が亡くなった日を 思い出そうとしましたが なかなか思い出せません。 確かもう少し暑かったような気がする。 今日では絶対にないと思うので その日が来るまで 秘密にしておこう。 順子: 大丈夫 大丈夫 今日どこ行く? ふたりは 順子にとっては 本当に久しぶりに 大阪に遊びに行きました。