ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの71歳の老人の日記です

ブログ小説「突然30年前に戻った順子の場合」その45

野村は
順子の話を聞いて
一瞬ドキッとして
体が
熱くなりました。

癌の告知を
直球できても困る
と言うように思いました。

でもよく考えると
野村は癌ではなく
将来癌になると言う
予言だから
癌の告知ではないのでは
とも考えました。

野村の頭の中では
癌=4年後に死亡
と言う図式ができて
もう何が何だかわからなくなってしまいました。

野村が
黙って
下を向いたままでいると
順子が
「大丈夫!
今なら大丈夫だから
心配なんかする必要ないの」
と優しく告げました。

野村は
「順子は大丈夫だと言うけど
その根拠は何なの
僕は
4年後に死ぬんだろ
死ぬときなんかわからない方が良いよ」
と少し甲高い声で
言いました。

順子は
自信ありげに
「大丈夫
私は未来から戻ってきたのよ。
あなたの胃がんが手遅れだと
聞いたとき色々と
調べたの
そうしたら
野村さんの
癌は胃のレントゲンでは
見つけにくいところにあるけど
胃カメラなら
早く見つかって
手遅れにならないだろうと
お医者様は
言ってくれたの

それを聞いたときは
そんなこと今さら聞いても
その時は仕方がなかったけど
30年も経って
役に立ったの

早く見付ければいいの

野村さん
きっと助かるから
大丈夫」
と言ったので
野村も
ほんの少しだけ安心しました。