ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの71歳の老人の日記です

ブログ小説「突然30年前に戻った順子の場合」その56

実際の再就職は
かなり大変でした。

時は超氷河期と言われた時代です。

野村は
35歳を過ぎていましたし
これといった
役に立つ資格も持っていなかったのです。

チューナー工場の
研究職でしたから
その方面では
相当な技術と
知識があったのですが
それは
過去のものでした。

就職活動は
失業保険が
切れる頃まで続きます。

その頃になると
野村は
すっかり
主夫になっていました。

家のことを
問題なく
こなしたのは
野村の才覚でしょう。

経済的には
几帳面な野村の蓄えと
失業保険で
問題なく
すごしていました。

順子の収入など
アテにはしていなかったのですが
野村は
順子に
気兼ねに思っていました。

順子もそれは
分かっていて
そんな思いをさせないように
心がけていました。

そんな微妙な
時期も
順子には
前の世界と比べると
楽しく思いました。

子供も
父親が家いて
嬉しそうだったのです。