机の引出を おそるおそる見ました。 いろんな書類の 一番下に 淡い 緑色の 十詩子がいつも使っている 封筒が入っていました。 封筒の表に 「大好きな悟さんへ」と 書かれていました。 封筒には 4枚の便せんが入っていました。 1枚ずつ 読んでいきました。 1枚目は 悟への手紙 2枚目は 創への手紙 3枚目は 遺言状 4枚目は 豊岡の両親への 手紙でした。 悟への手紙は 短文でした。 「残念だけど 先に逝くね。 ふたりは 会うべきして会って 愛し合ったので 誤解して そして 再会すべくして再開して そして 幸せになりました。 幸せが 永遠でないことなど それは当たり前のことです。 私が 先に逝けるのは 幸せなことです。 ひとりにならないもの 私は 天国から 悟が見えるし 幸せです。 先逝っているね それに先に逝った方が 天国では 若いでしょう。 見守っているから ズーッと長生きしてから こっちに来てね そしたら 私が若いのにびっくりするわよ またね」と 綺麗な字で 書かれていました。