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ロフト大好きの68歳の老人の日記です

ブログ小説「アスカルの恩返し」その5まで

アスカルの恩返し

僕の名前は
アスカル
今は
由美(ゆみ)です。

僕の
前世のことから
話をするね。

前前世は
忘れてしまったから
話せませんので
前世からです。

前世は
僕は
犬だったんだ。

1998年3月15日に
三つ子で生まれてきました。

母犬は、
柴犬で
飼い犬だったんです。

あまり記憶がないけど
とても
可愛い美犬?で
犬の種類で言えば
柴犬だったんです。

父犬は
わかりません。

生まれてすぐに
僕たち兄弟は
動物病院に
預けられました。

母犬の飼い主が
仔犬を飼えないので
預けたのです。

動物病院の
入口のところに
「仔犬あげます」と
書かれた紙が
張り出されると
他の2匹は
すぐにもらわれていました。

僕は
引き取り手が
なかなか見つからなかったのです。

たぶん
仔犬のかわいらしさが
僕にはなかったのかも知れません。

僕は
母犬からすぐに話されて
犬生を
斜めに見ていたのです。

人にこびを振って
しっぽを振ることなど
潔しとしなかったのです。

そのため
何人もの
人が
私を見てくれましたが
引き取ろうと
する者がいなかったのでしょう。

月日が流れて
3か月が過ぎると
僕は
可愛い仔犬から
幼犬へと
大きくなっていました。

2

大きくなると
引き取り手は
見向きもしません。

あとから来た
仔犬がもらわれていきました。

最初のうちは
広く感じたケージも
狭くなって
動き回ることもできません。

いつも
丸丸になって
寝ていました。

目をつぶるようで
つぶらないような
状態で
いつも横になっていました。

そんな時
先生と呼ばれる人と
看護師の方の
会話を聞いてしまいました。

「大きくなったので
残念ながら
処分しないと」と
言う声です。

人間の言葉を
あまり理解できないので
「処分」って
何だろうと
その時は思っていました。

でも
後になって
斜め前の
ケージの犬が
薄目で見ていると
注射をされて
その後
ぐったりして
ケージを出ていったのです。

そんな事を
考えてみると
「処分」という言葉の意味が
段々とわかってきました。

3

僕は
身近に迫った
「処分」の日を
感じていました。

でも
丸丸になって
寝ながら
それでも良いか
こんな犬生
早く終わりにしてくれた方が
幸せだと
思ったのです。

そして数日が過ぎ
動物病院が
暇になった
昼下がり
ドアが開きました。

先生と
看護師が
ふたりで入ってきました。

「来たか」と
思いました。

じたばたせずに
最期を迎えようとまで
思いました。

薄目で見ると
後ろに
老人も
ついてきていました。

「あー違った。

じゃなかった。」と
思いました。

「引き取り候補の登場か。

どうせ

どうせ」と
胸をなで下ろしました


「最期に
どんなやつか。

見てやろう」と
考えて
いつもとは
違う行動を
とってみました。

4

いつもは
丸丸になって
引き取り手を
見ません。

気配で
わかっていても
目を閉じているだけです。

呼ばれても
寝たふりをしていました。

この時に限って
少しだけ頭を上げて
目を
開けました。

その時
目が会ってしまったのです。

一瞬ですが
僕は
相手の目を見てしまいました。

何か
熱いものを感じました。

慌てて
目をそらしました。

そしてまた丸丸になって
「どうせ
僕なんか

、、、、
、、、、、」と
思いました。

僕には
名前がなかったので
「わんちゃん
わんちゃん」と
呼ばれました。

これは
明らかに
僕を呼ぶ声です。

その声を
耳で聞きながらも
丸丸になっていました。

5


獣医さんは
「今はこちらの犬と
あちらの犬の2匹しか
いません。

こちらの
わんちゃんは
少し大きくなって仕舞いっています。

普通のわんちゃんではないのです。


生まれたときから
あーなんです。

なにか
世をはかなんでいるような
捨ててるような
そんなわんちゃんなんです。」
と
話しました。

見学者は
「そんな様子ですよね。

一見して
わかりました。

私と同じですよね」と
答えたのです。

僕は
「僕と
この人が同じ

どういうことかと思って
もう一度
目を開けて
よーく
よく
見ました。

見学者は
背が高くて
頭がはげていました。

人間の中では
相当な
歳ではないかと
思いました。

この老人と
まだまだ仔犬の僕とが
同じだって
考えられないとも
思いました。

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