十詩子の東京での最初の仕事は 経理電算化の年内実施の 推進です。 手書き経理をしていた今までの 経理課員には 青天の霹靂です。 会社の方針とはいえ 反発があったことは 言うまでもありません。 十詩子は この計画を 成功させるには 現場の理解が 必要だと 考えました。 そこで 十詩子は 前もって 各経理課に行って 根回しをすることにしました。 1ヶ月余を掛けて 十詩子と 係長は 回りました。 十詩子は 係員から理解を得るように したのです。 地方によっては 二度行ったところもありました。 こんな根回しで 最大の難関は取り払われ 後は 忙しいだけの 事務的な 仕事でした。 日曜日も 途方滞在が多く 大阪に行くことは 困難でした。 悟とも 全く会えなくなったばかりでなく 電話さえ 夜遅くまで仕事をする関係上 出来なかったのです。 10月に 電算化に 移行すると 出てくる問題を ひとつずつ解決していく仕事が あって 一年は 瞬く間に終わってしまいました。