ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの68歳の老人の日記です

昭和30年頃の お正月 その7

兄と
父親が
臼の準備を始めます。

家の軒下においておいてある
石臼を
転がすように
庭の中央に持ってきます。

この家の臼は
石でできており
白い花崗岩を
お椀状に掘って作ってあります。

木の株の台の上に
荒縄を
丸めて
布団のように置き
その上に
石臼を
乗せます。

ふたりがかりで
やっと載せる事ができるくらいの重さです。

この家の
親戚の内は
昔からのお金持ちなので
木の臼を持っていました。

ケヤキでできていて
いつも納屋の中に仕舞ってありました。

木の臼は
石に比べて
軽い上
台が不要で
そのうえ
洗ったりするのが簡単で
蒸し上がった餅米が
さめにくいので
臼に使うには
適材です。

いつかは
木の臼を買いたいと
父親は考えていました。

へっついさんで
沸かした
お湯で
石臼を
洗いながら
暖めていました。

へっついさんから
湯気が上がって
餅米が
蒸し上がると
せいろ ごと
石臼のところに持ってきて
中にひっくり返しました。

まず父親が
餅米をこねました。

それから
母親が
相の手になります。

リズムよく
餅はつき上がっていきます。

弟は
姉が
いろんなものを
縁側に運んでいくので
手伝いました。

弟は
もう少しで
美味しい餅が食べられると
思いました。

待ちに待った
餅がつき上がりました。

小麦粉がふられた
餅箱に
餅が入れられました。

最初に
ご仏壇や
へっついさんなどに
お供えする
お餅を
作ります。

弟は
遠目に
うらやましく思いました。

二度目の餅ができました。
二度目は
小さく丸めて
丸餅にします。

お正月の雑煮にするお餅です。

そして三度目の
餅になります。

こうなると
父親や
兄や
母親は
疲れてきたのか
小気味よく
ついていないように
弟の目には
写りました。

そして
その餅が
待ちに待った
食べられる餅です。

母が
左手で
餅を絞って
右手で
とります。

それを
きなこや
大根おろし
砂糖醤油
などのところに入れていきます。

まず最初に
父親が
食べると
兄弟が
食べられるのです。

弟は
箸とお皿をもって
餅を
食べ始めました。

母親が
「ゆっくり食べないと
のどに詰まらせるよ」
と言う声も
聞くか聞かないか
弟は
食べました。

しばらくの間
みんなは
黙々と
食べていました。

全部なくなると
この餅つきは
終わりです。

たらふく食べて
動けなくなっても
後片付けは
しなくてはいけません。

重い体で
片付け始めました。