ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの68歳の老人の日記です

ブログ小説「冴子の人生は」その71

入籍したからと言って
何も変わりません。

冴子は
少し不満でした。

結婚式をするでもなく
新婚旅行にも行くでもなし
結婚指輪さえ
ないのです。

そんな不満を
当時は
持っていました。

でも
あとになって
かわらないことが
良いことだと
思うことになります。

開店まではあっという間に過ぎて
同じ年の
春に
開店のはこびとなります。

前の
店が
わりと固定客があったので
開店準備中の時から
問い合わせがありました。

そして開店の日
行列こそできませんでしたが
売り切れになるほど
はやりました。

開店セールで
安売りのためだと
わかっていても
勇治と冴子は
嬉しい限りでした。

開店セールが過ぎると
店は
はっきり言って
閑散とすることになります。

売れ残りが出て
ふたりは
持って帰って
パンばかり食べていました。

赤字になると言うほどでもなく
返済が
やっとできる程度
と言うのが
その年の収支の状況でした。

少し蓄えを
崩して
やっていくほどでした。

勇治は
正月休みも返上して
新しい
勇治独自の
パンを開発するため
店に閉じこもって
がんばっていました。

冴子は
手伝えることがないので
すべもなく
見守っていました。

正月なので
冴子は
神社まわりをして
商売繁盛のお願いをしました。