ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの71歳の老人の日記です

クリスマス企画「もうひとつの冴子の人生 パート2」その13

いままで
川上さんを
単にお客さんとしか
見ていませんでしたが
その時
少し変わりました。

神戸に電車で行って
フラワーロードを
南に行きました。

フラワーロード沿いの
ビルは
ひどい被害を受けているようで
足場や仮囲いがついていました。

東公園で
ルミナルエの点灯を待ちました。

時間が来て
薄暗いところが
パーと
明るくなって
いろんな色が
キラキラと輝きました。

ルミナルエの中を
元町の方に歩きました。

冴子は
元町の方が
少しだけしか離れていないのに
殆ど被害がないことに
驚きました。

こんなところに
店を構えていたら
勇治は
死ななくても良かったのに
と
また
考えてしまいました。

そして
胸が熱くなって
下を向いてしまいました。

それを
感じた
川上さんが
寄り添って
手を繋いでくれました。

混んでいたので
そのまま帰って
尼崎駅前で
食事をして
帰りました。

翌る日からも
川上さんは
ほとんど変わらず
いつものように
来店しました。

でも
冴子が
川上さんを見る目は
少し変わったような気がしました。

それから
二三日過ぎた日
岡山の
勇治の
お母さんから
一周忌の
知らせが来ました。

「もうすぐ一年になるのね」と
思いました。

正月になると
年賀状が
転送されて
やって来ました。

数少ない
高校の友達の
賀状には
震災を心配する添え書きがあったので
返信を出しました。

川本さんのご両親や
義理になった人たちに
寒中見舞いを出して
近況を知らせると
早速
川本さんの
母親がやってきて
一周忌を行うので
来て欲しいと
やって来ました。