ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの71歳の老人の日記です

ブログ小説「超幸運な男」その60

地震から
既に
6時間以上経ちます。

名前を呼んでみましたが
返事はありません。

ヘリコプターが
低空を飛んで
うるさいので
聞こえないのかもしれませんが
勝には
胸騒ぎがします。

勝が住んでいる所は
東側は運河
南側は酒蔵
西側に
小学校があって
10数軒の小さな家が
集まっていました。

その中で
一軒だけ
全壊したのです。

近所の人が
右往左往しているだけで
どのように助けてよいか
わからなかったのです。

もちろん
消防には
連絡しましたが
まだまだ来ませんでした、

あらゆる仕事を
経験した
勝ですので
助け方を
皆に指示して
持ち寄った道具で
助け始めました。

人数が多いのと
道具が調っているのと
指示者が
しっかりしているので
小一時間で
いつもいるお部屋まで
掘り進めました。

先を掘る
若者が
「体が見えます」と
叫びました。

皆が集まって
引っ張り出しました。

しかし
息は
既にありません。

体も
冷たくなっていました。

近くの人が
毛布でくるみました。

地区の世話役が
警察に
連絡に行きました。

電話が
全く通じないので
少し離れた
警察署まで
行ったのです。

遺体は
勝の家に
安置されました。