夜も更け 静まりかえった ホテルのロビーでの 美奈子さんと薫子の 話は続きます。 美奈子: 段々好きになるのよね。 私も 聡さんの いいところがわかって もっともっと 好きになっていくのよね 陽一君とも そうだったんでしょう。 薫子: ごちそうさま 聡さんとは なかがよろしいこと 家主さんも 喜んでいらっしゃいました。 美奈子: 私の事じゃなくて 薫子さんのことですよ。 登の 心を受け止めてあげて下さい。 夏子ちゃんも そう願っているみたいでしょう。 薫子: そう言われても 私には まだ 陽一さんとの 思い出が 大きくあるんです。 美奈子: 二律背反ではないでしょう。 陽一君との思い出は 大きいから 絶対に消えないでしょう。 思い出は過去のもの 新しい未来を 登さんと 作ってみたら。 何度も言うようだけど 夏子ちゃんも 喜んでいるんだから お付き合いしたらいいのよ。 そうすれば きっと 新しい思い出ができますよ。 薫子は 大きく 笑顔でうなずきました。 ふたりは 自分のお部屋へ 帰りました。