ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの68歳の老人の日記です

長編小説「昭和」その12

備中は
貴重な鉄で出来ていて
農機具の中では
高価なものでした。

当時の鉄は
粗悪品もあって
歯が折れたりして
鍛冶屋に
修理してもらうことも度々です。

柄の部分は
固い木で出来ていて
丈夫ですが
すり減って
細くなっていました。

細くなって
鉄の部分も
小さくなった備中を
亀太郎は
使っていました。

見渡す限りの
田んぼを
端から
並んで
田おこししても
日が暗くなるまでに
終わるわけもありません。

来る日も来る日も
田おこしです。

もちろん晴れの日もありますが
雨の日も
休むことは出来ません。

晴耕雨読というような
四文字熟語は
小作人には
ありません。

冬の間に作った
簑を背中に
笠を頭に載せても
雨水は
皮膚まで通ってきます。

初夏になって
寒いような時期ではありませんが
五月の雨は
寒い日もあります。

寒い日は
こたえます。

亀太郎は
汗の出る作業には
丁度良いと
やせ我慢で
母親には答えました。