ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの71歳の老人の日記です

長編小説「昭和」その31

収穫は嬉しいことですが
仕事自体は
きついです。

それに
季節外れの
北東の風が
吹き始めたのです。

浜では
波が高くなっているようです。

きっと
野分が近づいているのではと
清左衛門は
考えました。

家人に
伝えて
収穫を早めるよう
しました。

稲刈りした稲は
田んぼに作った
稲木(当地では「だて」と呼ばれる
竹で作ったもの)に
かけて
乾燥します。

家の近くの
稲については
家に持ち帰り
田んぼの
稲木は
平素より
寄せて
頑丈に作りました。

風は
徐々に
強くなってきました。

今の暦で言えば
10月の中旬に
台風は来ました。

板葺きの
清左衛門の家は
大きな風で
揺れました。

あちこちから
雨漏りして
いました。

稲が仕舞ってある
倉庫を
清左衛門は
守りました。

風が少し収まった時
村人は
枝川に向かいました。

もう流れが
一杯で
一部で
溢水(いっすい:みずがあふれていること)していました。

今津は
その年
洪水に見舞われてしまったのです。