ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの68歳の老人の日記です

長編小説「昭和」その52

歯ブラシは
ヤナギの枝なら
歯磨き粉は
目の細かい
砂というか
粘土と言ったらいいか
そんなものを使います。

その砂は
六甲山の麓で取れて
売りに子供が
売りに来ていました。

砂だけでは
さっぱりした感覚が出ないので
ハッカとか
唐辛子・丁字などを加えたものも
ありました。

他に
塩で
磨く習慣がありました。

小作人の
清左衛門の家では
塩で磨くなど
考えられませんので
砂だけの
もので
歯磨きしていました。

甘いものなど
食べたことがない
亀太郎の歯
虫歯などありませんでした。

今で言えば
歯石は
ありましたが、
ほどほどの歯並びでした。

亀太郎は
6歳の時に
母親に言われて
楊子を
使うようになりました。

朝食後の一服が過ぎ
用をたしたあと
清左衛門は
「作業」の
声を上げます。

家人たちは
一斉に
用意して
田んぼに向かいます。

夏なら午前7時頃
冬なら午前8時頃の作業開始です。

軽作業で
暑くない時期なら
昼まで
働きづめです。

時計がないので
お寺の鐘が
正午を告げると
昼になります。

お昼になると
ぞろぞろと
揃って
家に帰ります。

家に帰ると
水で
手足をゆすいで
朝食と同じように
食事を摂ります。

暑い時期なら
服を脱いで
体を
水で濡らした
手ぬぐいで
拭きます。