ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの71歳の老人の日記です

長編小説「昭和」その97

お金で納入は
ながく小作人を
続けてきた
清左衛門には
青天の霹靂です。

雷よりも
びっくりなことでした。

お米を
多量に
売らなければなりません。

お米は
当時は
相場商品になっていて
一夜で
お米の売り渡し価格が
変わってしまいます。

良い時に売らなければならないのですが
相場が
どのように変わるかなど
経験もない
清左衛門は
困ってしまいました。

そんなわけで
買いに来た仲買人に
安く売ってしまったこともありました。

世間の情報が
わかる新聞が
発行されるまで
今しばらくを要していましたから
清左衛門は
この面では
相当の損をしていたようです。

その損を
宮水運びと
農仕事で
取り戻していました。

亀太郎の長男の
鶴松が
8才になった時
姓を
役場に届けるようにと
命令が
各戸に
届きました。

今津村の
村民の中には
江戸時代初めに
姓が禁止された時の
姓を
代々表には出さずに
覚えている
ものも多くいました。

しかし
清左衛門の家では
屋号の
カネセイの方だけが
伝わっていて
姓が伝わっていなかったのです。