順子にとっては 時間の流れが 行ったり戻ったりしたので こんがらがってしまいました。 (お読みになっている読者の方も わからないので 今後 順子が戻るまでの世界を 「前の世界」 戻った時を 「今の世界」と言います。) 野村は前の世界では 良くできた夫でした。 順子に優しく 子供にも優しく 理想的な夫だったのです。 順子は 見合いで会って その後すぐに結婚して 何もわからなかったけど 時間が経つにつれて 野村が好きになっていったのです。 その野村が 今の世界では 冴子と見合いをするのです。 前の世界では 冴子は 不意の事故で 亡くなってしまうのです。 前の世界で そう言えば 課長が 野村の見合い話を 私にした時 冴子の相手であったけど 不幸が起きたので 順子に 回ってきた と言うようなことを 話していたような 記憶が 戻ってきました。 順子は どうしようか 迷いました。 冴子に 「前の世界」では 野村は 私と結婚することに なっている なんて言ったって 信じないだろうし そうかといって 冴子の見合いが うまくいかないように 画策するなんて 出来ないことだし、 順子は どうすればよいか 全くわからなくなりました。 お布団に入って 順子は 眠れませんでした。