ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの71歳の老人の日記です

アスカル帰還せよ その40

探査機が噴射したとき
噴射ガスが
彗星に当たってしまったのです。
当たったところが
彗星の端だったので
彗星が
ゆっくり回転し始めたのです。

それに気が付いたのは
私でした。

もう一方の彗星の端が
回っていく先には
探査機がありました。

このままでは
彗星が
探査機に当たってしまうのです。

探査機の
すこしだけ
軌道を変更したら
当たることはありません。

しかし現在探査機は
自動操縦で
彗星と平行して飛行するように
セットされているのです。

手動にしなければ
いけません。

でも船外活動機は
ゆっくりで
私が探査機にたどり着き
それから
操縦ユニットまで
行く間に
彗星は
探査機に当たってしまいます。

私は
考えました。

探査機に乗っている
サリナさんが
操縦して
軌道を変えるしか
方法はありません。

でも軌道を変えると
船外活動機で
戻れないかもしれません。

私は
まずサリナさんに
無線で
操縦席に行くように
言いました。

サリナさんは
何かわからなかった様子でしたが
ただならぬ私の慌てように
直ぐに操縦席に座りました。

それから
理由を告げて
右上にある
姿勢制御の
エンジンを
1秒だけ
噴射するように
セットするように指示しました。

そんな指示をしている間にも
彗星は
ますます
探査機に近づきました。

私の
船外活動機が
探査機に付くのが早いか
彗星が
探査機にぶつかるのが早いか
予想がつかないような状況でした。

サリナさんに
中央の蓋付きのスイッチの
自動操縦解除ボタン
手前左の行程開始ボタンを
私が指示したら順番に押すように
言いました。

私は
遅い船外活動機の
フックを持って
手を伸ばし
左手で
操縦桿を握りながら
火星探査機に
到着しながら待ちました。

彗星が
近づきます。
船外活動機ももう少しで戻れます。

一瞬の時が過ぎて
私の右手の
フックを
探査機に付けたとき
無線で大声で
「GO」と言いました。

彗星が当たる瞬間
探査機は
ゆっくりと
彗星から離れ始めました。
その離れる早さと
回転する速さが
同じくらいで
間一髪という
所です。