ロフト付きはおもしろい

ロフト大好きの71歳の老人の日記です

ブログ小説「冴子の人生は」その13

冴子が勤め始めたのは
昭和44年の春です。

冴子の社宅から
自転車で
いけるくらいの距離にあって
当時テレビには
絶対必要なもの
テレビチューナーを作っている会社でした。

ロータリーチューナーで
親会社に
納品にしていて
景気がよい会社でした。

そんな会社に
工員として勤めた冴子は
同僚先輩から
少し浮いていました。

その会社の
工員たちは
中卒の生え抜きで
高卒の冴子を
仲間はずれにしていたのです。

そんなことがわかって
会社は
あまり人と関わりのない
検査部門に
冴子を
配属しました。

会社の製品である
チューナーの出来を
検査するのです。

検査用の機械に
取付
チューナーを
回して
問題なく
テストパターンが
映るかどうか検査するのです。

当時は
カラーテレビが出始めた時期で
カラーの
テストパターンを
見続けていると
残像が残って
よくわからないようなことが
起こってしまいます。

冴子は
上司に言われたとおり
手順書どおり
検査をして
冴子の検査印を
押して箱に詰めました。

一日中しても
いや一ヶ月しても
一年経っても
不良品なんかは
見つからないのですが
検査は
粛々とするのが
冴子の仕事でした。